バリューチェーン分析とは?【具体的なやり方・手順】解説

 

こんにちは、 SunnyBizコンサル です。

 

今回は、企業の環境分析のひとつである、バリューチェーン分析の具体的なやり方について解説します。

 

バリューチェーン分析は、アメリカの経営学者、マイケル・ポーター氏によって提唱されたフレームワークです。

これは、自社分析として行うフレームワークであり、経営戦略を練るうえで自社の強みと優位性を把握するために活用されます。

 

この記事では、バリューチェーン分析の概要に触れ、実際にどのようにフレームワークを活用していくのか図解を用いて説明します。

その後、具体的なやり方を4つの手順で紹介し、バリューチェーン分析の内容とやり方の理解が深まるよう説明します。

ビジネスドクター
バリューチェーン分析のやり方をマスタ―して、自社の内部分析に活かして頂けると幸いです♪

バリューチェーン分析とは

バリューチェーン分析に実際に取り掛かるまえに、バリューチェーン分析とはどういう概念のもと行うものか、その内容を図解とともに見ていきましょう。

バリューチェーン分析とは?

バリューチェーン分析とは、結論から言うと利益を最大化するために行う分析です

バリュー・チェーン(Value Chain)とは、その文字通り価値(Value)の連鎖(Chain)を意味します。

企業は、一つのマーケットを完成させるために、

  • 原材料の調達活動
  • 商品の加工・製造
  • 出荷・配送
  • マーケティング
  • 顧客への販売
  • アフターサービス

というように、一連の事業活動を行います。

 

そして、一連の活動を行うためには、以下のような、その活動を管理する体制が必要となります。

  • 企業の管理運営、経営
  • 人事、労務、総務
  • 技術開発、研究、設計
  • 資金調達活動、情報調達活動

 

バリューチェーン分析は、これらが一体として行われている企業活動を、個々の活動が連鎖している、つまり、価値(Value)が連鎖(Chain)していると捉え、個々の活動ごとに分析をする手法です。

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バリューチェーン分析とは?その概要と目的について【3分読解】

バリューチェーン分析の図解

今説明した内容を図で表すと、下図のようになります。

項目ごとに箱で並んでいるように、企業の活動は個別に分解することができます。

活動は、大きく分けて製品(商品・サービス)と直接的に関わる主活動と、主活動を支える支援活動があります。

この分解された活動ひとつひとつを掘り下げて見ていくことで、その活動が生み出す価値やコストを分析することができます。

これらを個々に分析することで、個別の活動ごとにどの工程で高い付加価値が生み出されているのか、またはどの工程に問題があるのかを明確に把握できるようになります。

バリューチェーン分析は、企業活動の中でどこに価値があるかを知ることができ、自社の強みを把握することに繋がるため、経営戦略を立てるうえで大変効果的な分析手法です。

バリューチェーン分析のやり方

バリューチェーン分析のやり方 手順解説

バリューチェーン分析のやり方を手順ごとに区切って説明していきます。

取り掛かる順番は、以下の通りです。

①バリューチェーンの把握

②各活動を細分化する

③各活動における価値、コストをピックアップ

④強みと弱みを把握する

 

分析を行う際は、ホワイトボードか大きなデスク、大判の用紙など、広く使える場所を確保することをオススメします。

そして、あると便利なものがメモ書きできる大きめのポストイット(付箋)です。

なければ、メモ用紙でも構いません。

これからたくさんの情報を取り上げていくので、準備を整えましょう。

ビジネスドクター
今からやろうとしていることは、情報の収集と整理です。色々な情報をたくさん集め、メモに書き出し、グループ分け、情報の精査、取捨選択を行います。その時にポストイットを使えば、上の画像のようにホワイトボードや机にも貼れるし、何度も貼って剥がしてが出来るので、とにかくとても便利です♪

手順①バリューチェーンの把握

まずは、自社のバリューチェーンの活動がどのようになっているかを把握します。

バリューチェーン分析の図解であったように、自社製品(サービス)が顧客に届くまでの流れを最初から活動工程ごとに洗い出し、その流れの順に大枠を用意します。

ここで各活動を洗い出すことにより、売上・利益を生み出すためにどのような流れで、どんな活動工程を経ているかを確認することができます。

 

この活動工程を洗い出す作業は、自社の現状分析の第一歩です。

ここできちんと自社の活動を把握することで先の分析の精度が変わってくるため、最初の取り掛かりである活動の洗い出しをしっかりと行いましょう。

 

バリューチェーンの各活動は、業界によって異なります。

製造業であれば上図のような流れが一般的ですが、物販、飲食、サービス業は、その業界ごとにそれぞれ異なる流れがあります。

まずは自社がどのような工程で企業活動を行っているかをしっかりと認識し、自社に合ったバリューチェーンを並べていきましょう。

手順②各活動を細分化する

手順①で把握したバリューチェーンの各活動を、工程によってはさらに細かく分けていきます。

例えば製造業においては、「製造」の部分だけでも加工という作業だけでなく、設計・加工・検品というように、細かく分解することが可能です。

設計も加工も検品も、それぞれにかかるコストや時間、人員配置が異なるため、「製造」というくくりよりも、3つの工程を並べる方が分析精度があがります。

他の工程においても、細分化できる部分については必要に応じて分解していきましょう(図参照)。

手順③各活動における価値・コストをピックアップ

続いて、各活動の価値とコストを挙げていきます。

価値は、今まで築きあげてきたものや、利益を上げることに繋がるもの、自社の強みといえることなど、価値を高める要素です。

例えば、優良な取引先、マニュアル化、ブランド力、若手の活躍、技術力の高さ、対応力、サービス内容、販売活動、製品特徴など、思いつくものは何でもピックアップしていきます。

 

コストについては、経費やその工程に費やす時間などです。

経費は、可能な限り数字で表します。

例えば、部門別の試算表の数字やその工程にかかる人件費、予算などを入れると良いでしょう。

その工程に費やす時間(期間)も把握できるようであれば表します。

さらに、懸念されることや問題点など、改善すべきことがあればそれも思いつくままに挙げていきます。

★ここで、ポストイットの出番です!!

価値とコストを挙げながら、ひとつひとつをポストイットに書き出し、それぞれの場所に貼っていきます。最初はとにかく書いて貼るを繰り返し、多くの情報で図を埋めていきます。

 

次に価値の中にコストになりうるものがないか、コストであっても価値を生み出すことに繋がるものが無いかを確認し、ポストイットを貼ったり剥がしたりして、情報を整理していきます。

この時、重複するものや、類似すること、不要なものは剥がしましょう。

 

情報を整理することができたら、そこにかかるコストの割合を入れます。

コストの部分で出てきた数字をまとめ、比率にして表すことで、全体の中でどこにどれだけコストや時間がかかっているかを把握することができます。

手順④強みと弱みを把握する

最後に、自社の強みと弱みを確認する作業です。

顧客に提供している製品・サービスが、どの工程で付加価値をつけていったのか、手順③で挙げた価値を掘り下げて見ていくことで分析・把握することができます。

どの工程に価値が集中しているのか、付加価値を生み出している部分を見つけることで、自社の強みを見つけることができ、逆に価値の生まれにくい部分から弱みとなる箇所も見つけることができます。

①~③の手順を行うことで、自社の付加価値と競争優位な部分を把握することができ、結果的に、どこで他社と差別化を図るかの勝負どころが見えてきます

 

その勝負どころが見えてくれば、一連の活動工程の中でどこに力を入れるべきかの戦略立案に繋がります。

また、弱みを知ったことで、無駄(コスト)の削減、業務効率化を図るための課題を具体的に見つけることができます。

VRIO分析の活用

手順4において、バリューチェーンの強みと弱みを分析する際に、競合他社との比較としてVRIO分析の活用があります。

このVRIO分析で分析する内容は「競争優位性」という言葉で表され、バリューチェーンの各活動の中で、競合他社に比べどこに競争優位性があるのか?を4つの視点から分析します。

VRIO分析とは?概要とやり方の手順(図解あり)

図のように、縦にバリューチェーンの活動工程、横にVRIO分析の各要素を取り、クロスさせながら優位性があれば〇、無ければ✖、判断に迷うもしくは特に大差がない場合は△を書き込みます。

より細かく分析したい場合には、1~5の点数制にしても良いでしょう。

そのマーク(もしくは点数)の集計結果を見て、どの活動工程が競合に対して優位性を持っているか、また同時にどの部門を改善するべきか、具体的に把握します。

まとめ

バリューチェーン分析のやり方について見てきました。

今回は、自社の分析という目線で行いましたが、もう一歩踏み込んで自社と業界、競合他社の3つの目線でバリューチェーン分析を行う方法もあります。

その業界の一般的なバリューチェーンと、他社のバリューチェーンを一緒に分析することで、今後の戦略のヒントや、差別化できるポイントが見えてくる場合があります。

まずは、自社のバリューチェーンを分析し、個別の活動ごとにどの工程で高い付加価値が生み出されているのか、またはどの工程に問題があるのかを明確に把握していきましょう。

参考書籍の紹介

〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略



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Sunny
新しい『笑顔』に出会うため、ブログを開設しました。 主に会計・マーケティング・経営に関する内容を『誰にでも分かりやすく』を心掛けて投稿しています。少しでも参考になれば幸いです。よろしくお願いします。