損益計算書の見方 【5つの利益を読み取ろう】

 

こんにちは、 SunnyBizコンサル です。

 

損益計算書を見る時、どこを見ているでしょうか?

よく、当期純利益だけを見て「この会社は儲かっている」と判断する人がいます。

確かに、当期純利益がプラスであったという事は、会社が利益を出していたということです。

しかし、その最終値だけを見て「会社が儲かった!」と判断するのは、少々危険です。

 

当期純利益はあくまでも最終値としての利益であり、実はそこに辿り着くまでに区分ごとに4つ利益が計算されています。

なぜわざわざ4つも利益を計算して当期純利益を出すのでしょうか。

そこには大きな意味があるのです。

 

今回は、損益計算書に出てくる5つの利益について解説します。

理解を深め、正しく損益計算書を読んでいきましょう。

損益計算書には5つの利益がある

概要

損益計算書を上から下へ読んでいくと、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益と、5つの利益が出てきます。

その会社が儲けているかどうかは、当期純利益を見れば十分に分かるような気がします。

では、ひとつの会社の成果を知るのに、なぜわざわざ利益を5つに分ける必要があるのでしょうか。

利益を区分して表示するのには意味がある

そこには、大きな意味があります。

当期純利益は、いわば結論としての数字です。

そこに辿り着くまでに、会社がどのような活動で何を要因に利益を出したのでしょうか。

本当に重要なのは、結論が分かることよりも、そこに行き着く過程でどれだけ利益を生み出す力があるかどうかを判断することです。

5つの利益を見ることで、会社の健全な部分と、ムダの部分、強み、弱みがどこにあるのか、はっきりさせることができます。

利益をわざわざ5つに区分して示すことは、その会社の1年間の実情を表すという大きな意味があるのです。

損益計算書の5つの利益の概要

損益計算書に出てくる利益を上から順にみていきます。

売上総利益

売上総利益は本業による利益であり、本業の商品やサービスを売り上げたことで生じる利益です。粗利ともいいます。

たとえば商品を売る業種であれば、ざっくり、売上と材料仕入れの差額で儲けがでているかな?という、粗利を知りたいときにここを見ます。

営業利益

営業利益は、売上総利益から本業に関わる経費を引いたあとの利益です。

商品やサービスを売っていく際にかかる人件費や管理費用を払っても、きちんと儲けが出ているか?を確認する際に見ます。

経常利益

経常利益は「ケイツネ」とも呼ばれます。

本業以外の利益や損失を加味したあとの利益で、通常の経済活動から得られる利益を表しています。

経常的な経済活動の結果、全体としてどれだけの利益を出せたか?を知りたい時に見るべき利益です。

税引前当期純利益

経常利益から単発的・一時的・特別な要因で発生した利益・損失を足し引きし、税金を計算するときにベースとなる利益を算出します。

それを税引前当期純利益といい、その言葉どおり税金を引く前の利益です。

ここで計算した利益に対して、納めるべき法人税等が計算されます。

当期純利益

税引前当期純利益から、納めるべき税金を引いた利益が当期純利益です。

当期純利益が、会社に残る最終利益です。

 

このように、利益はひとつの会社の中でそれを生み出す要因ごとに5つに区分することができるのです。

そして、目的ごとに利益を分析することで、会社の業績だけでなく実情や儲ける力が見えてきます。

実際に利益を読んでみよう

売上総利益を読む

売上総利益は、先に触れたとおり、本業の商品やサービスを売り上げたことで生じる利益です。

売上取引1つ1つから稼ぎ出す、粗利益(あらりえき)を表しています。

売上総利益は、売上高から、直接売上にかかった商品代金などの売上原価を引いて求めます。

売上原価は売上と対応関係にあるため、売上総利益を計算することで、その商品がどれだけ利益を生み出す力があるのかを見極めることができます。

 

ここでもし、利益がほどんど出ていない、もしくは利益の割合が小さいと、それは販売価格と仕入原価とのバランスに問題があるのかもしれません。

販売する商品の価格を見直したり、仕入業者を検討し原価を抑えたり、利益率が高くなる工夫をする必要があります。

売上総利益の計算
売上高 ー 売上原価 

営業利益を読む

営業利益は、売上総利益から本業に関わる経費を引いたあとの利益です。

ここで引かれる経費を「販売費及び一般管理費(販管費)」と言います。

よくあがるものとしては、人件費・広告宣伝費・減価償却費・通信費・研究開発費・消耗品費・交際費などがあります。

 

これらの支出は、売上の増減に応じて増えたり減ったりするものではなく、たとえ売上が0であったとしても発生します。

つまり、販管費は売上原価と異なり売上とは対応しない、会社を経営・管理するうえで発生する経費です。

営業利益の計算
売上総利益 ー 販売費及び一般管理費 

売上総利益から販管費を引いて求められる営業利益は、本来の事業でどれだけ儲ける力があるかを表します。

営業利益は、金融機関や投資家などの外部利害関係者も重視する利益です。

本業での儲けを表すため、同業他社との比較だけでなく、異業種との比較においても企業の力を知る大切な数字となります。

 

営業利益をしっかりと残すためには、販管費にあがる項目ごとに支出の必要性などを検討し、コストを削減することも大切です。

経常利益を読む

経常利益は、営業利益に営業外で発生した利益や費用を足し引きして求めます。

営業外利益でよくあがるものが、利息や配当金の収入です。

営業外費用では、金融機関から借り入れた資金の返済時に発生する利息の支払いなどがあります。

これは、会社が事業として生み出すものではなく、経営活動に付随して発生するものです。

 

経常利益をみることで、会社が経常的に、安定して継続して利益を生む力があるかをみることができます。

経常利益の計算
営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 

営業利益がプラスであっても、経常利益が小さくなる場合があります。

それは、本業以外での支出が多い場合であったり、利息の支払いが多額にのぼる場合です。

利息の支払いが多額であるということは、それだけ資金の借り入れ・返済があると見ることができます。

会社を支えている資金が自分の資金ではなく他社からの借入に頼っているということも分かります。

税引前当期純利益を読む

税引前当期純利益は、言葉のとおり税金を引く前の利益を意味します。

税引前当期純利益は、経常利益に企業にとってイレギュラーな収入・支出を加味して求めます。

例えば、台風被害による損失や、所有していた土地などの固定資産を売却した際に得た利益など、毎期発生する見込みのないものです。

このような一時的、突発的に発生した特別利益と特別損失を考慮して利益を算出します。

税引前当期純利益の計算
経常利益 + 特別利益 - 特別損失 

ここの利益(または損失)は、今期かぎりのものです。

毎年その利益が出る訳ではないため、ここで利益が大きく出たからといって会社が健全であるとはいえないのです。

当期純利益を読む

税引前当期純利益から法人税・住民税・事業税などの税金を引いたものが当期純利益です。

これが会社の最終利益であり、1年間で得た成果そのものです。

当期純利益の計算
税引前当期純利益 - 法人税等 

当期純利益は、その期の最終的な結果を表しているため、とても重要な数字です。

大企業など、株主を多く持つ企業にとっては、配当金を決める重要な数値にもなります。

まとめ

5つの利益にはそれぞれに意味があることを説明しました。

商品やサービスの儲ける力を知るには、売上総利益を見ます。

会社の収益性を把握するなら、毎期経常的に発生する収入・支出を網羅した経常利益を見る必要があります。

会社としての損益すべてを把握するなら当期純利益を見ます。

利益を深く読むことで、会社の強みや弱み、改善すべき箇所を見つけることができます。

また、自社の前期の数字や、他社の数字と見比べることで、企業分析を行うこともできます。

損益計算書の利益が何を意味しているかを理解し、読む力を高めていきましょう。



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Sunny
新しい『笑顔』に出会うため、ブログを開設しました。 主に会計・マーケティング・経営に関する内容を『誰にでも分かりやすく』を心掛けて投稿しています。少しでも参考になれば幸いです。よろしくお願いします。