こんにちは、SunnyBizコンサル です。
今回は、STP分析の中の P=ポジショニング について掘り下げて解説します。
STP分析を行う手順は、英語の並び通りS(セグメンテーション)⇒T(ターゲティング)⇒P(ポジショニング)です。
分析を順番に進めていくと、ここまでで S=セグメンテーションとT=ターゲティングが終わり、残すはP=ポジショニングというところまで来ていると思います。
セグメンテーション・ターゲティングについてはコチラをご参考にして下さい↓↓↓
セグメンテーションにより自社の活動領域を決め、ターゲティングによって自社が勝てる可能性が高い特定の市場に狙いを定めたら、いよいよ最後のポジショニングです。
今回の記事では、
最初にポジショニングの概念とその重要性について解説します。
次に、ポジショニングを検討する際に活用すべき、ポジショニングマップについて具体例を交えて説明します。
最後に、ポジショニングを行う際のポイントについて提示し、STP分析についてまとめます。
この記事を読むことで、なぜポジショニングの手順が必要であるか、その重要性を理解することができます。
また、ポジショニングを行う際に、自社の場合は何を軸にして行うべきか?どの視点で行うべきか?の視点とポイントを理解することができます。
STP分析の最後の手順であるポジショニングをしっかり理解し、STP分析を完結させましょう!!

もくじ
ポジショニングとは?

ポジショニングの概念(Positioning)
ポジショニングとは、市場での自社の立ち位置を明確にすることをいいます。
これは、競合他社との比較や業界での位置づけではなく、顧客の中でどういう風に認識されるかという、顧客の中での自社の位置づけを表します。
ここで、コーヒー業界を例にポジショニングを考えてみます。
『手軽に安く、すぐに飲める淹れたてのコーヒーといえば?』
と聞かれた際、みなさんはどこのコーヒーを想像しますか?
私は、「手軽・安い・すぐに」のキーワードから、コンビニのドリップコーヒーを想像します。
コンビニであれば街のいたるところで見つけることができ、100円~200円の価格帯で、ほとんど並ぶことなくすぐに手に入れることができるからです。
コンビニのコーヒーは、私の中で「手軽さと安さ」でポジショニングをとっていることになります。
では次に、
『お友達と会っておしゃべりをしながら、ゆっくり美味しく飲むコーヒーは?』
と聞かれた場合はいかがでしょうか?
スターバックスや、ドトールコーヒーなどがイメージできるのではないでしょうか。
お友達と待ち合わせがしやすく、話をはずませることができ、味わい深いコーヒーを飲むことができます。
スターバックスやドトールコーヒーは、コンビニのコーヒーとは違う領域で顧客の中にポジショニングができているといえます。
このように、「〇〇といえば?」と聞かれて「△△!」と出てくる企業は、顧客の中にポジショニングが出来ているといえます。
ポジショニングは過ごす相手やシチュエーションによっても変化します。
顧客の価値観や年代、性別、環境などの条件により回答が異なることもあり、全員が同じイメージを持つとは限りません。
よって、すべてを網羅する必要はなく、あくまでも自社が活動する領域で、自社がターゲットとする顧客に、明確なイメージで選ばれる位置にあることがポジショニングであるといえます。
ポジショニングの重要性
ポジショニングがなぜそこまで重要なのか、その重要性について3つの側面から見ていきます。
重要性をより具体的に説明するため、例として過去にポジショニングに大成功したアサヒ飲料の「ワンダモーニングショット」を取り上げます。
1.市場のシェアという側面
ポジショニングが成功した場合、市場で大きなシェアを獲得することができます。
アサヒ飲料の「ワンダモーニングショット」は、缶コーヒー市場において「朝専用缶コーヒー」というイメージを強烈に植え付けたことで、朝からコーヒーを飲む習慣があるサラリーマンやOLのポジショニングを一気に確立することができました。
STP分析に当てはめると、まず、市場を時間でセグメントし、ターゲットを毎朝活動するサラリーマン・OLに絞りました。
もともと、朝は自宅でコーヒーしか飲まないという人にとっては、朝専用の缶コーヒーはまさにニーズに合ったもの。
また、食後のコーヒー、喫茶というイメージが強かったコーヒー市場において、朝という市場は穴場のマーケットであり、空白の領域として空いていた部分でした。
その穴場を狙い、朝に特化した時間帯にポジショニングをとることで、大きなシェアを確立することができました。
2.競合他社との競争という側面
ポジショニングは、競合他社との競争が激しければ激しいほど重要な要素です。
他社の動きに合わせ一進一退するような競争を続けることは、企業にとって大きな負担となります。
しかし、顧客の中に「〇〇といえば△△」という認識で自社の商品が確立されていれば、そもそも他社と競争するまでもなく、勝てる領域に位置していることになります。
顧客のイメージの中で「朝といえばワンダモーニングショット」というポジショニングができたことにより、他社は「朝といえば…」の領域に参入することが難しくなりました。
もし参入したとしても、「朝はコレ!」という顧客の中のポジショニングを自社へすり替えるには、相当のインパクトが必要になります。
ポジショニングを確立することができれば、その領域を独占することができ、他社の動きに振り回されずに冷静な意思決定をすることができます。
他社との競争において『戦わずして勝つ!』を可能にするため、ポジショニングは大変重要です。
3.費用対効果の側面
自社の活動領域と狙う顧客が定まったら、そこできちんとポジショニングできるか?という点を検証することで、リスクを減らし、費用対効果を高めることができます。
ワンダモーニングショットが、朝という領域でサラリーマン・OLをターゲットに絞ったことは、そこに重点的にアピールをすることで、自社のポジショニングが獲れると踏んだからです。
そのポジショニングを確立するため、ターゲットに特化した広告を打ちました。
スーツを着た男性と女性のCMを想像できる方も多いことでしょう。
サラリーマンやOLが利用する電車の中吊り広告に投資したり、早朝と夜の時間帯に集中してCMを流すなど、ターゲットに合わせた場所で広告活動を行うことにより、無駄なく効果的にアピールをすることができ、売上・利益の増加に繋がりました。
費用対効果の面においても、ポジショニングを確立することは重要であるといえます。
ポジショニングマップの活用

ポジショニングマップとは
ポジショニングを検討する際に活用するフレームワークとして、ポジショニングマップというものがあります。
これは、市場において自社がどこに位置するかを客観的に知るために活用する場合と、これから市場でどのポジションに位置するかを決める場合の、ふたつの活用方法があります。
いずれにしても戦わずして勝てる市場の穴場を探すものであり、競争優位な立ち位置をとるために行うフレームワークです。
ポジショニングマップの活用手順
ポジショニングマップを活用する際の手順は、以下の通りです。
1.縦軸と横軸の設定
まず、顧客が商品やサービスを購入する際に重要視する要因を、縦軸と横軸で組みます。
この縦と横は、類似した要因にならないように注意が必要です。
例えば縦軸を「価格」、横軸を「品質」で選んだとします。
価格が高ければ品質が良く、価格が低ければ品質が悪いというのが一般的です。
これでは有効なポジショニングマップとはいえません。
できるだけ、2つの軸に関連性がないものを選ぶ必要があります。
2.他社と自社のポジションを並べてみる
マップ上に、他社と自社を配置してみます。
企業そのものの位置として配置するのも良いですし、他社と自社の特定の商品やサービスを配置するのもいいでしょう。
縦軸と横軸の中のどこにそれが位置するのかを並べ、業界の全体像を把握します。
3.空白のポジションを探す
他社と自社の配置をながめ、他社と差別化できる自社のポジションを探します。
他社が手を出していない領域にポジションを置くことができればビジネスチャンスが広がり、大きな話題となるでしょう。
ただし、市場が無くて他社が全く入ってこない領域が空白として残っていることもあるため、そこは要注意です。
なぜ空いているのか、その原因をよく確認しましょう。
カフェ業界のポジショニングマップ(例示)

外食カフェ業界についての、ポジショニングマップを作ってみました。
価格による縦軸と、シチュエーションによる横軸で、現在の市場に存在するカフェ店を配置します。
すると、右下の緑色で囲んだ部分が、ぽっかりと空いていることが分かります。
低価格でオフィシャルなお店を考えた際、ここは他社が参入していない空白の市場であることが分かります。
その領域にニーズがあり、ビジネスチャンスになるということであれば、ここを他社と差別化できるポジションとして、商品・サービスを投入します。
逆に、お店が重なる場合や隣接する場合には、競争が激しいことを意味します。
2つの軸で他社と自社を配置してみることで、視覚的に市場を捉えることができます。
マーケットの穴場は「ブルーオーシャン」という言葉で表現され、競争がないきれいな海を意味します。
その穴場を見つける手段として、ポジショニングマップを活用しましょう。
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ポジショニングを行う際のポイント

ポジショニングの切り口
ポジショニングの切り口として、なにを軸に考えるか、その軸の取り方がとても重要です。
軸の要素として取り入れる視点をいくつか例にあげます。
- 価格…高い安い、贅沢かリーズナブルかなど
- 環境…都内か郊外か、住宅街かオフィス街か、大都市か中規模か、都会か田舎かなど
- 価値観…おしゃれかカジュアルか、高品質か量か、デザイン性か機能性かなど
- 場面…くつろぐか楽しむか、静かか賑やかかなど
- 時間…短いか長いか、テイクアウトか滞在型かなど
- 人物…若いか年配か、大人か子供かなど
縦と横2つの軸は、顧客の視点に立ち何を要素に購買の意思決定をするか、その判断となる切り口を考えて組むことが重要です。
軸をとる際は、価格など数値化できるものと、サービス的な要素の数値化できないものを組み合わせると、ターゲットに合ったポジショニングが考えやすいでしょう。
顧客の視点
ポジショニングを決める際は、顧客の視点で客観的に考える必要があります。
企業の売りたい、広めたいの働きかけよりも、顧客の「欲しい!」に応えることが大切です。
せっかくターゲットまでたどり着いていたとしても、そこへのアプローチがズレていると、顧客から認知される力が弱く効果的なポジショニングをとることができません。
ポジショニングは顧客視点で、顧客のイメージの中に作られるものであることを今一度確認しましょう。
空白地帯を探す
ポジショニングは、顧客の中に比べる対象が少ないことが理想的です。
競合他社が既にポジションを取っていると、顧客に認知されていたとしても競争が起こるため自社が優位に立つための戦略を常に考えなければいけません。
他社から自社へポジション移行を狙う場合は、大きな費用と時間を要します。
そこの非効率なポジションを戦うよりも、なるべく他社がいない場所に入り差別化できるポジションを探す方が、成功のチャンスは広がります。
すべてにおいて自社が空白の地帯にいる必要はありません。
自社の持つひとつひとつの商品・サービスで空白地帯を探してみると、10のうち9は競争必須であっても、残りの1の部分で競争なくして勝てる領域があるかもしれません。
その1つが顧客の中でのポジショニングになると、その領域は独占状態になります。9の商品・サービスよりも大きな売上・利益を生み出すことに繋がります。
道筋を立てる
ポジショニングマップの活用により、空白地帯をみつけることができたら、そこに辿り着く可能性と道筋を必ず確認します。
せっかく空白地帯をみつけたとしても、その位置に行けなければ意味がありません。
到達する道筋が見えなければ、顧客ニーズが無いか、他社があえて入らなかった魅力のないポジションである可能性があります。
空白地帯はブルーオーシャンとなり得ますが、そこにしっかりとニーズがあるかどうかを分析することも重要です。
なぜ空白になっているのかその要因を考え、そこでポジショニングが確立されるまでの道筋を考えることも大切です。
まとめ
ポジショニングは、STP分析の最終手順であり、差別化要因を見極める重要なものです。
STP分析は、企業が販売活動を成功させるうえで最も大切と言っても過言ではありません。
なるべくリスクを少なく、大きな費用をかけずに、効率よく活動を行うためには、事前の分析が欠かせません。
ポジショニングが確立された時に得られる優位性は、分析にかけた時間・コストを大幅に上回る利益を生み出してくれます。
STP分析は、S⇒T⇒Pを順に行うことで、この先具体的にどう販売戦略を立てるか、検討すべきことが見えてきます。
ひとつひとつをしっかりと順番立ててやることで、つじつまが合わない時には、ここまでの検討が合っているかどうかの再確認もできます。
ターゲットを絞り込んで効果的に市場を開拓し、自社の立ち位置を明確にできるよう、STP分析の取り組みを強くおすすめします。