こんにちは、 SunnyBizコンサル です。
今回は、マーケティングについて事例で分析をしてみようと思います。
分析させていただく会社は 『Costco(コストコ)』 です。(個人的に、いつもお世話になっております(*- -)(*_ _)ペコリ)
みなさんは Costco に行ったことがありますか?
Costcoとは?
コストコホールセールは、高品質な優良ブランド商品をできる限りの低価格にて提供する会員制倉庫型店です。
コストコは、小規模ビジネスを対象に展開してきました。再販業者は仕入れ価格を抑えられるだけではなく、ビジネス用品を低価格で購入することができます。
個人会員の方にも、様々な商品のお買い物をお楽しみいただいています。以下省略…
引用:Costco公式HP:https://www.costco.co.jp/
上記の説明にもあるように 会員制の倉庫型店舗 です。
商品は食料品から日用雑貨、電化製品のほか、タイヤに宝飾品まで幅広く取り扱っています。
安いものから高級なものまで価格帯も様々です。
店舗は商品の販売と在庫管理を兼ねたような陳列で、まさに店舗兼倉庫。
日本には新しいスタイルの大型総合スーパーです。
コストコはつい最近も新店舗オープンに関してヤフーニュースで取り上げられていました。
ニュース記事:YAHOO!JAPANニュース:コストコが北海道、熊本県、愛知県に新店舗をオープン 2021年春~夏に開業予定
テレビでもよく特集が組まれているので、行ったことは無くてもご存知の方が多いと思います。
コストコのマーケティングには、興味深いところ、学ぶべきことが多くあります。今回はそこを深掘りしていきます♪

もくじ
Costco(コストコ)から学ぶマーケティング

コストコには、『買わせるマーケティング戦略』がたくさん採られています。
その買わせるマーケティングの戦略を分類すると、3つに分けることができます。
- 形式的戦略
- 心理的戦略
- 形式的戦略+心理的戦略
形式的戦略とは
形式的戦略とは、作られた枠により行動を導く戦略のことです。
これは、消費者側が決めることができない一定のルールや、システム、条件、様式など、企業側が作り提供している形式をいいます。
企業の「こういうやり方です」に消費者が自然と従うような形です。
ここでは形式的戦略と表現しておきます。
心理的戦略とは
心理的戦略とは、人間の心(感情)に働きかける戦略をいいます。
消費者が欲しいと思う商品を提供することはもちろんのこと、その欲しいという意欲をさらに上げるような環境・状況づくりをいいます。
街中のスーパーで耳にするBGMや、今だけ〇%OFF!というポップ広告、試食販売など、聴覚・視覚・味覚などを刺激して購買意欲を高める方法も心理的戦略といえます。
それらの刺激から無意識に感情が揺さぶられ、『買いたい!』という心理が高められるのです。
ここでは心理的戦略と表現しておきます。
形式的戦略+心理的戦略とは
これは、形式的戦略と心理的戦略を合体させたもので、どちらの戦略も取り入れることで、より高い効果を生み出しているものをいいます。
コストコでは、消費者の購買意欲を高めるように、ここの部分においても独自の工夫がされています。

以下、具体的に内容を見ていきます。
形式的戦略の具体例

立地とアクセス
コストコの出店には、以下のような土地条件があります。
土地条件
高所得層マーケット
半径10kmの人口が50万人以上
企業が多い地域
敷地面積 10,000坪以上(ガスステーション用敷地を含む)
建築面積 約4,500坪
半径10km=人口50万人以上
用途地域=準工、商業、近隣商業(売り場面積1万㎡超)
駐車場収容台数 800台以上
車のアクセスの良い物件
購入・定期借地(40年以上)・建貸引用:Costco公式HP:https://www.costco.co.jp/
この条件に当てはめて戦略を見ると、立地とアクセスが重要視されていることが分かります。
条件を端的に言うと
- 広く開けた場所であること
- 人が集まりやすい場所であること
- 車での来店が主流であること
倉庫型の大型店舗を出店するために必然である立地の問題と、
その立地から「車で行くのが当たり前だよね」と、消費者が自然に発想するような、コストコ側からの条件が入っています。
この条件を満たす場所に店舗を構えることで、消費者のアクセス方法が自然と限定されてきます。
顧客単価の高さ
コストコの商品は、個人が一度に消費するには大きすぎる(多すぎる)ものばかりです。
肉や魚はKg単位の販売であり、ケース売り、ダース売り、セット販売など、ほとんどが業務用レベルの大容量で売られています。
まさに アメリカンサイズ!!
同量をスーパーで買うことを考えると、コスパ的に安いものも多くありますが、量が多いことからひとつひとつの商品単価は高くなります。
一度の買い物で2万円越え!!ということもザラにあります。
売り方を大容量にすることで、自然と顧客単価が高く設定されています。

大容量での売り方に対応するためにも、消費者は車でコストコへ向かいます。
コストコの売り方に消費者が対応する形で、企業側のルール・形式に自然と従っていることになります。
心理的戦略の具体例

商品のインパクト
コストコには正規品以外に、オリジナル商品が多数存在しています。
コストコでしか買えないものや、日本のスーパーでは見かけないものも数多くあり、興味を引くものばかりです。
大容量というインパクトに加え、トレンドに対応したもの、季節商品、限定商品があるため、年齢、性別、ジャンルを問わずに買い物を楽しむことができます。
家族で来店している人が多く、買い物に行くこと自体が一つのイベントになっています。
特に、ここでしか買えないという希少性は商品のインパクトとなり、興味関心が高まり消費者の心を動かします。
テーマパーク的要素
コストコに入る際、入場ゲートをくぐるかのように、スタッフによる会員カードチェックがあります。
そこから一歩入ると広い空間、大型家電、積み上げられた商品。
通路も広く、天井が高いため開放感があり、非日常がそこから始まるような、外国に来ているような感覚になります。
近所のスーパーに行っても特に話題にのぼりませんが、
コストコの場合だと


と、話題になることもしばしばです。
まさに、テーマパーク的要素があると言えます。
フードコートに見る安さ
コストコにはフードコートも設置されています。
人気商品はホットドッグ(ドリンク付き)180円。
ホットドッグは無料で自由にトッピングすることができ、ドリンクはおかわり自由です。
もちろんサイズはBig。大人が食べても満足できる大きさです。
その他、サラダやピザ、ソフトクリームなどの商品もあり、どれも量が多く安く食べることが出来ます。
フードコートが安い!ということが、消費者のイメージの中で『コストコは安い』という意識に繋がっている部分があります。
店舗には安いものと高いものが混在しているにも関わらず、フードコートの安さのイメージにより、心理的に『コストコは安い』という感覚が生まれます。
形式的戦略+心理的戦略の具体例

有料会員制度
コストコは会員制です。
- ゴールドスターメンバー 4,400円(税抜)
- ビジネスメンバー 3,850円(税抜)
(※2020年7月現在)
これは、コストコが他の小売業と差別化を図っている部分です。
普通のスーパーやショッピングモールでは考えられないシステムであるものの、会員制にすることにより『安い』のイメージとは逆に『高級感』という相反する価値を生み出しています。
消費者は会費を払う事で「元を取りたい」という心理が働き来店数を増やします。来店数が増えると、顧客単価も増えます。
企業側の条件を消費者が受け入れることで、お客さんに来てほしいという企業側の思いと、元を取りたいという消費者の心理が一致し、売上増加に繋がっています。
会費を払ってでも通いたいと思わせる商品力があるからこそ成立する仕組みです。
また、会員は非会員を連れて入ることが出来る制度があります。
この制度により、口コミによる新たな集客が生まれ、広告宣伝効果もあり会員数の増加に繋がっています。
カートの大きさ
コストコに行って驚くことの一つに、カートの大きさが挙げられます。
心理的に、人は決まった大きさの枠に隙間があると、それを埋めたくなるという行動心理があります。また、非日常の空間で日ごろ見ないような大きなカートを手にすると、「買おう」という購買意欲が自然と高まります。
消費者は、コストコから与えられた大きなカートというルールの中で知らず知らずにコントロールされ、心理的に購買意欲を高めているのです。
返品・退会対応
コストコでは返品時、購入した商品と引き換えに、代金を全額返金する保証制度を採っています。
口に合わなかった商品や、サイズ違い、使い勝手などを理由に返品する際、全額返金が保証されていることにより、新しい商品でも試してみようという心理が働くようになります。
これは退会時においても同様で、有効期限内であれば、年会費は全額返金されます。
この、返品・退会時の対応により、消費者はコストコへの安心と信頼を抱くようになります。
消費者は安心して商品を試すことができ、気付けばリピーターになっているということです。
まとめ

マーケティング戦略は、企業によって様々です。
企業規模や経営資源、市場のニーズによって採用できる戦略は変わってきます。
今回分析したコストコについては、消費者のニーズに合わせて企業が戦略を採っているというよりも、企業のシステムにいかに消費者を乗せるかという、形式的・心理的な戦略を感じます。
消費者を離さない商品力があり、他社が参入できない差別化された独自の体系を持つことで、
消費者をコントロールする企業力があるといえます。
消費者の購買心理や購買動向を分析し、自社に合った戦略を独自に見つけることが出来ると、それが大きな強みとなるでしょう。