経営分析をわかりやすく 勘定科目の分類~変動費と固定費と変動損益計算書~

 

こんにちは、 SunnyBizコンサル です。

 

経営分析では、通常の会計科目とは異なる「変動費」「固定費」という費用項目と「限界利益」という利益項目を把握します。

今回は、経営分析を行う際の基本として、変動費、固定費に振り分けられる勘定科目の分類と、その重要性について解説し、求められる利益についてまとめます。

ビジネスドクター
勘定科目には様々なものがありますが、経営分析で重要となるのは損益計算書に計上される費用科目です。経営分析では費用をどのように分類するかという点がポイントとなります。しっかりと見ていきましょう!

経営分析を行う際の勘定科目の考え方

勘定科目とは、日々の経済取引を記録・集計する際の「箱」のようなものです。

勘定科目を使うことによって、経済活動を取引の種類ごと、内容ごとにすみ分けることができます。

勘定科目を使用する際のポイント

正しく経営分析を行うためには、取引ごとに数字を集計する必要があります。

勘定科目という箱の中に同一の取引を入れていくことで、企業の取引が内容ごとに集計されていきます。

中身がバラバラにならないよう、同じ取引を同じ箱に入れるようきちんとすみ分ける必要があります。

正しくすみ分けができた箱の数字は、より正確な分析結果を導き出してくれます。

まずは、勘定科目という箱に日々の取引を正しくすみ分けることが重要です。

 

勘定科目に取引を振り分ける際には、以下の2つのポイントをおさえておきましょう!

ポイント
  1. 勘定科目は継続して使うこと
  2. 同一同類取引は同じ勘定科目を使うこと

勘定科目は継続して使うこと

会社の活動は、よほどのイレギュラーが無い限り経常的に毎月・毎年同様の取引が発生する場合がほとんです。

そうであるにもかかわらず、今まで「仕入」「消耗品費」「通信費」と勘定科目に集計されていたものが、今年からはすべて「雑費」に集計されるというようなことがあってはいけません。

その年の都合で勘定科目を発生させたり消したりすることが無いよう、毎期継続して勘定科目を使用しましょう。

同一同類取引は同じ勘定科目を使うこと

同じ取引内容にもかかわらず、今月分は「通信費」に、来月分は「雑費」にと、都度処理や判断が違ってはいけません。

正しく集計するため、取引の内容が同じものは同一の勘定科目を使って処理をしましょう。

 

最終的に決算書では、1年間、同じような取引がどれだけあったのか?ということを表示します。

同一同類取引をきちんと同じ科目で処理することが重要です。

勘定科目についての詳細はコチラ↓↓↓

勘定科目とは?簡単にわかりやすく解説(勘定科目一覧つき)

経営分析における勘定科目の分類

勘定科目には様々なものがありますが、経営分析では、損益計算書に計上される「経費科目」をふたつの費用グループに分類します。

費用グループのひとつを「変動費」、もうひとつを「固定費」といいます。

変動費

「変動費」とは、売上の増減に連動(比例)して増減する費用のことをいいます。

たとえば、商品を加工販売する会社の場合、より多くの売上をあげるためには売るための商品を準備する必要があります。

その商品の材料代、仕入代、加工代、運搬代など、売上をあげるために直接結びついて増減する経費を「変動費」にグルーピングします。

会社が儲ける力がどれだけあるか?を判断する際、変動費の発生額をきちんと把握することはとても重要です。

より正確な分析を行うためには、勘定科目の中で何が売上に比例するのか、何を変動費として抽出するのか、場合によっては勘定科目の中をより細分化して見ていく必要があるかもしれません。

固定費

売上の増減に比例せず、常に定量的に発生する費用を「固定費」といいます。

会社がテナントとして入っている建物の賃借料や人件費は、売上が減っても減額されることはなく、増えたからといって急に増額されるものではありません。

水道光熱費、広告宣伝費、機器のリース代など、会社を運営するためにかかる費用も売上の増減によって変動するものではなく、売上が0円だったとしても発生する固定的な経費です。

固定費は常に定量的に発生するからこそ、そこに無駄が無いかを見直し、できる限り削減すべきものとなります。

変動費・固定費とに分類することの重要性

何が変動費で何が固定費になるかのすみ分けは、会社の業種や支出の目的によって異なります。

同じ業種であっても必ず同一になるとは限らず、自社ならではのすみ分けが必要です。

 

例えば人件費で考えた場合、ひとことに人件費といっても製造に関わる人件費なのか、販売に関わる人件費なのか、または運営に関わる人件費なのか、その内容が複数になる場合もあります。

勘定科目に振り分ける際には、自社においてどれが変動費でどれが固定費となるのか、その分類がとても重要です。

他にもガソリン代。

営業やマーケティング活動で使った場合と、商品を仕入れたり納品する際のトラックに使用したものとでは、同じガソリン代であっても売上との対応を考えた場合内容が異なります。

経営分析を行うためには、同じ名目の支出であってもその支出が売上に直接対応するものなのか否かをしっかりと区分する必要があります。

判断基準としては、売上げるごとに発生する費用なのか、そうでないかで考えると良いでしょう。

経営の実態にそった数字を正確に拾えば拾うほど、より精緻な分析結果を出すことができます。

変動費と固定費はしっかりと区分しましょう。

変動費と固定費を表す変動損益計算書

費用を変動費と固定費というグループに集計したら、その費用グループが業績にどう影響しているかについて分析を行います。

この場合、決算書の損益計算書とは異なる「変動損益計算書」を作成し、利益は「限界利益」と「経常利益」を表示します。

変動損益計算書

変動費と固定費を用いた計算書類を「変動損益計算書」といいます。

変動損益計算書は損益計算書の一種であるものの、制度会計上認められた方法ではなくあくまでも管理会計を目的として作成されるものです。

外部利害関係者への公表や、作成の法的ルールはありません。

自社の採算性や利益を生み出す力を把握するため作成するものです。

 

損益計算書は、

売上総利益(粗利益)
営業利益
経常利益
税引前当期純利益
当期純利益

と、5つの利益を一定のルールに従って表示します。

変動損益計算書で表す利益は、「限界利益」「経常利益」の2つの利益のみです。

変動損益計算書における利益

変動損益計算書では、「限界利益」と「経常利益」を以下の図のように表示します。

売上高から変動費を差し引いたものを「限界利益」といい、そこから固定費を引いて「経常利益」を計算します。

限界利益

限界利益とは、上で示したとおり「売上高」から「変動費」を引いたものです。

しばしば、損益計算書の「売上総利益」と同じように考えられがちですが、

変動費には販売費及び一般管理費に計上されている勘定科目の内容も入ってくるためその点が異なります。

限界利益
限界利益 = 売上高 ― 変動費

限界利益は、売価と原価の間にどれだけの利ザヤ(儲ける力)があるかを表しています。

売上高がどれだけ大きくても、限界利益がわずかであれば儲ける力は小さいことを表します。

利益を会社にしっかりと残すためには、変動費をいかに抑えるか?という点がとても重要となります。

限界利益は、売上高よりも重要な指標であるといえます。

経常利益

経常利益は、限界利益から固定費を引いて求められます。

経常利益
経常利益 = 限界利益 ― 固定費

経常利益は損益計算書の経常利益と同様であり、「事業全体から経常的に得た利益」をいいます。

固定費は売上の増減に関わらず一定に発生するものであるため、売上が上がれば上がるほど、利益は生まれる計算となります。

限界利益を知る事の意味

限界利益を知ることで、経営の基礎を把握することができるようになります。

限界利益は売上の増減によって変動するため、売上が上がっても下がっても利益の率は同じになるはずです。

利益率が低い場合は、変動費をいかに下げるか検討し、あるいは売価の見直しを行います。

逆に利益率が高い場合は、その分儲ける力があるという事が分かります。

限界利益を知ることで、利益を生み出す力、すなわち経営の基礎となる利益を把握することができるようになります。

まとめ

経営分析を行う際、最も重要となるのは正しい数字の集計と費用の分類です。

集計する数字や費用を分類するグループが誤っていると、正しい経営分析を行うことはできません。

まずは日々の経済活動を勘定科目ごとに正しく集計、分類し、そこから見える利益について分析を行いましょう。