こんにちは、 SunnyBizコンサル です。
今回は、バリューチェーン分析をする際に、それぞれの経営資源についての強み・弱みを判断するVRIO分析について解説します。
このVRIO分析でいう強み、弱みは「競争優位性」という言葉で表され、バリューチェーンの各活動の中で、どこに競争優位性があるのか?を4つの視点から分析します。
この記事では、まずVRIO分析とは?という概念に触れ、VRIOを構成する4つの視点について説明します。
次に、VRIO分析の目的と考え方に基づいて図解を提示し、図解を読み解きながら活用方法について解説します。
バリューチェーン分析を分析する中での手順の一部でもあるため、VRIO分析をしっかりと理解し、バリューチェーン分析の活用にも繋げていきましょう。

VRIO分析とは?

VRIO分析とは?
VRIO(ヴリオ)分析とは、アメリカの経営学者であるジェイ・B・バーニーが提唱した理論で、「競争優位性」について、企業が持つ経営資源、組織力を4つの視点から分析するフレームワークです。(ジェイ・B・バーニー(Wikipedia))
「競争優位性」とは、高い開発力や、優れた価値提供、低コスト化など、競合他社との競争で有利に働く自社の強みとなる能力を意味します。
VRIO分析は、その「競争優位性」を、「経済価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣可能性(Inimitability)」「組織(Organization)」の4つの視点から分析を行うものであり、各要素の頭文字をとってVRIO(ヴリオ)といいます。
VRIO分析の4つの構成要素
- 自社の経営資源に経済的な価値があるか
- 市場において顧客から価値を認められているか
経済価値(Value)は、自社の持つ経済資源が市場において経済的な価値として認められているか?という視点で、価値の有無を評価するものです。
企業の経営資源が充実していたとしても、それが顧客にとっての満足度に繋がり価値として認められなければ、競争優位とはなりません。
自社の経営資源が顧客に対して価値があるかどうか?という視点が第一の分析要素です。
- 経営資源に希少性があるか
- 希少性が高いか低いか
希少性(Rarity)は、自社の経営資源が希少であるかどうかを評価することです。
希少とは、独自性や珍しさから生まれる価値を意味し、これが高ければ高い程市場での競争は優位になります。
希少性が低いと他社との比較において勝つことが厳しくなり、顧客からの支持を獲得することができない可能性があります。
経営資源の希少性は企業の価値に次いで、重要な評価指標です。
- 自社の経営資源が他社にとって模倣しやすいかどうか
- 模倣するためのコストが高いか安いか
模倣(もほう)とは、言い換えると「真似する」ということです。
模倣可能性は、自社独自の経営資源が他社から真似されやすいかどうか?を見るものです。
簡単に真似されるようなものであれば、市場を独占していたとしてもすぐに競合他社に真似され、追いつかれることでしょう。
また、経営資源にかかるコストについてもその負担が低いようであれば、もともと経営資源が乏しい企業でも、抵抗がなく参入してくる可能性があります。
真似されにくく、真似しようにもコストが高くかかり簡単にはいかない…ということであれば、市場では長きにわたって高いシェアを維持することができるでしょう。
模倣可能性が高いかどうかは、次の4つの要素で判断できます。
- 歴史的条件(unique historical conditions)
- 因果関係不明性(causal ambiguity)
- 社会的複雑性(social complexity)
- 特許(patent)
これは、VRIO分析の生みの親であるバーニー氏が列挙したものであり、この4つの要素による視点から真似されやすいかどうかを判断します。
歴史的条件とは、その企業が持つ歴史的価値であり、老舗や、代々続く店などをイメージして下さい。
因果関係不明性とは、なぜ強いのか?なぜ市場でこの地位を獲得してるのか?が、不明確であることを意味し、どこから真似をしていいかが他社から判別できないことを指します。
社会的複雑性とは、顧客の持つイメージやブランドを意味し、企業内で作り上げれるものではなく、真似することが難しい市場からの認識要素をいいます。
特許は、特許権など、他社が侵害することができない状態のものです。
しかし、特許には期限があるため要注意です。
- 経営資源を活用するための組織が整備されているか
- 組織体制が構築されているか
組織(Organization)は、VRIO分析の中で最後に評価するものであり、企業の組織力がきちんと整っているか否かを見ます。
V・R・Oまでが評価できるものであったとしても、それを活用する組織がしっかりと構築されていなければ、経営における意思決定や戦略実行がうまく行かない可能性があります。
長期的に競争優位な状態を維持するためにも、組織の構築や企業内のルール作りは大変重要です。
これら、VRIOの4つの要素で分析することで、自社の経営資源が保有しているプラスの部分を認識することができます。
また不足している資源を把握することにも繋がり、改善を図るきっかけにもなります。
VRIO分析を行うことで自社の内部を分析し改善することになり、市場における競争優位性を高めることができるといえます。
ジェイ・B・バーニーが提唱した理論についての参考書籍はこちら↓↓↓
VRIO分析の目的とメリット

VRIO分析を行う目的
VRIO分析は企業の経営資源を分析し、経営資源の競争優位性を発見し、強みを見出し弱みを発見することを目的に行います。
分析する際には、バリューチェーン分析でいうバリューチェーンと結びつけて考えることで、
価値が高く希少性があり、模倣困難な経営資源が何か?を把握することができます。
競争優位性の有無をバリューチェーンの要素ごとにV・R・I・Oの順に見ていくことで、経営資源の中のどこに優位性があるのか、その源泉を知る事ができ、自社の強みの源を確認できます。
逆に、企業にとっての弱みも明らかになるため、その企業を構成する要素の強みと弱みを明確にすることができ、これからさらに強化すべきところや、改善すべきところの工程が明確になります。
メリット
VRIO分析を行うことのメリットは以下の通りです。
- 経営資源の要素から、自社の強みと弱みが明確になる
- 自社を構成する部分のどこに強み、弱みがあるかを明確に把握することができる
- 自社に競争優位性があるかどうか判断できる
- 経営資源を有効活用するために何を整備・強化すべきかがわかる
これらは、意思決定を行う際や経営戦略を立てる際に重要となります。
VRIO分析の手順:図解説明
VRIO分析:図解

今説明してきたVRIO分析の視点を表にまとめると、上記のようになります。
左から右に向かって、質問形式で順に問うことにより、経営資源に優位性があるかどうかを判断することができます。
考え方としては、NOであればそこで判断終了、YESであれば次の分析項目へ進み、競争優位のレベルを見ます。
分析結果の見方
■経営資源に価値がない場合、「競争劣位」にあると言えます(劣位:劣るということ)。
■経営資源に価値はあるものの希少性がない場合、「競争均衡」の状態です(競争力に大差なしということ)。
■経営資源に価値があり、希少性があるが、模倣困難性がない場合「短期的な(一時的な)競争優位性」を持つと見ることができます。
■価値・希少性・模倣困難性の全てが満たされていれば、「長期的な競争優位性」があると判断できます。
■さらに、組織性があり組織づくりが上手くいっているのであれば、経営資源を最大限に活用できていることになる為、「永続的競争優位」に立てると分析することができます。
VRIO分析:フローチャート

上記のVRIO分析を、より簡素化して分かりやすくしたものがフローチャートになります。
考え方はVRIO分析と全く同じです。
VRIO分析の活用:図解

VRIO分析は、バリューチェーン分析で企業の活動ごとに工程を分けた内容と組み合わせる事により、活用することができます。
縦に経営資源、横にVRIO分析の各要素を取り、クロスさせながら優位性があれば〇、無ければ✖、判断に迷うもしくは特に大差がない場合は△を書き込みます。
そのマークの結果を見て、どの経営資源に自社の強みや弱みがあるかを見出し、強み弱みの洗い出し、今後の課題や方針を検討していきます。
まとめ

経営資源についての強み・弱みを判断するVRIO分析について、その内容と活用手順について解説しました。
VRIO分析は、自社を知るうえでも他社との比較をするうえでも、今後の経営戦略を立てるうえでとても役立つフレームワークです。
VRIO分析を行う際は、バリューチェーン分析で企業活動の工程に挙げた内容と掛け合わせて分析を行うことで、競争優位性の判断に役立ちます。
付加価値の高い業務・要素・工程と、改善すべき業務・要素・工程を明確にし、より良い企業活動ができるよう分析していきましょう。
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