こんにちは、 SunnyBizコンサル です。
企業・事業を営むうえで重要と言われる「企業理念」。
企業理念とは会社の存在意義であり、達成目標であり、志であり、使命であり、創業の精神であり…と、色々な本や「まとめ」に説明がされています。
企業理念とは、なんとも大きな概念で、とても壮大な考え方です。
よく、会社には企業理念があり、その理念のもとビジョンを持って活動するという考えがあります。
どの会社にも企業理念があり、その理念のもと事業が行われている…
と、聞きますが、企業理念ってありますか?
日々、企業理念をもとにビジョンをもって活動していますか?
私は以前会計事務所に勤めていたため、多くの経営者と色々な話をしてきました。
担当していた会社は中小企業が多く、事業内容は多種多様。
では、その企業それぞれに企業理念があったかどうか…
ある企業の社長は「この仕事は儲かるからやっている」
ある企業の社長は「私の代で会社潰すわけにはいかないから頑張ってる」
ある企業の社長は「企業理念?みんなそんなの考えてる?大企業だけでしょ?」
という感じでした。
もちろん、中にはしっかりと理念を掲げている会社もあります。
ただ、中小企業は圧倒的に理念が無い会社の方が多い。
企業理念が重要!!と言われているにも関わらず、特に理念がない・・・
なぜでしょう。
企業理念が無いからといって会社の業績が悪いとは限りません。
企業理念が無くても業績が良く、経営状態も安定しており、日々の業務をこなすうえでは特に何も問題がないという会社もあります。
では、なぜ企業理念がそこまで大切と言われるのでしょうか。
今回は、企業にとって重要と言われる企業理念についてその概念に触れ、なぜそこまで重要とされるのか、その重要性・必要性について考えていきたいと思います。

企業理念とは

企業理念とは
企業理念とは「創業の精神」と言われ、創業者の想いや志に基づく考え方をいいます。
それは、企業として大切にしている価値観や、存在意義でもあり、社会においてどのような役割を担うかという企業目標でもあります。
会社によっては社訓として掲げられているところもあるでしょう。
企業理念は、たとえ経営者が変わったとしても変わることがない企業の原理であり、会社にとって不変の価値観であると言えます。
有名企業の企業理念
企業理念をイメージしやすいように、ここで有名企業の理念をいくつか紹介します。
その企業のHPへ行くと、企業理念・経営理念・ミッション・ビジョン・スローガンというような表現で掲げられた言葉があります(URL参照)。
今回はそれらを総称して企業理念と捉えて紹介します。
トヨタ自動車
トヨタはクリーンで安全な商品の提供を通じて、豊かな社会づくりに貢献し、国際社会から信頼される良き企業市民をめざしています。
出典:https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/guiding-principles/
ソフトバンク
情報改革で人々を幸せに
出典:https://www.softbank.jp/corp/aboutus/philosophy/
セブンイレブン
私たちは
いかなる時代にもお店と共に
あまねく地域社会の利便性を追求し続け
毎日の豊かな暮らしを実現する
出典:https://www.sej.co.jp/company/principle.html
株式会社オリエンタルランド
自由でみずみずしい発想を原動力に
すばらしい夢と感動
ひととしての喜び
そしてやすらぎを提供します
出典:http://www.olc.co.jp/ja/company/philosophy.html
株式会社ZOZO
世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。
Be unique. Be equal.
出典:https://corp.zozo.com/about/philosophy/
パナソニック株式会社
A Better Life, A Better World
私たちパナソニックは、より良いくらしを創造し、世界中の人々のしあわせと、社会の発展、そして地球の未来に貢献しつづけることをお約束します。
出典:https://www.panasonic.com/jp/corporate/management/philosophy.html
株式会社 ファーストリテイリング(ユニクロ)
服を変え、常識を変え、世界を変えていく
出典:https://www.fastretailing.com/employment/ja/about/frway.html
ライザップ 出典:https://www.rizapgroup.com/about/vision/
「人は変われる。」を証明する
出典:https://www.rizapgroup.com/about/vision/
これらの企業理念を読んで、その会社がイメージできますか?
企業理念は、最初に触れたように「創業の精神」として掲げられたものです。
具体的にあれをする!これをする!といった言葉が並ばなくても、社名と理念を見つめると、なんとなくその企業が目指すところが想像できる内容のものがほとんどです。
企業のHPに行ってみると、企業理念を頂点に置き、そこに続いて経営理念・経営方針・ビジョンなどが明示されていることもあります。
企業が掲げるものが具体的であればあるほど、その企業をよりイメージしやすいと言えます。
企業理念の存在意義
では、なぜ企業理念の存在が重要となるのでしょうか。
企業=法人はそこに「人」という文字が使われるように、一種の人格を持ち合わせたものと考えられています(法人格)。
企業(法人)を設立するときは、一つの大きな人格を生み出すことになり、その存在を確かなものとして育てていかなければなりません。
「こうなりたい。こうありたい。ここを目指したい。」という創業者の想いは、企業を育てていくうえで活動に大きく影響を与えるため、大変重要なものとなります。
起業の志として、なぜ法人を生み出したのかを企業理念として明確に表すことで、常に初心を明示することができ、その企業(法人)の向かうべき道を照らしてくれます。
たとえ経営者が不在であっても、その代が変わったとしても、創業の精神は変わることがありません。
企業理念は見上げれば光る星のように、その企業の方向性を照らしてくれる道標であるように思います。
企業理念の重要性

なぜ企業理念が重要なのか
企業理念が無くても十分な利益を出している企業は多くあります。
理念なんて無いけれど、気付けば半世紀!というような企業もあるのではないでしょうか?
では、なぜそこまで企業理念が重要といわれるのでしょうか。
重要と言われる理由は大きく3つに集約されます。
①経営者の思いを示してくれる
②意思決定を正しい方向へ導く
③迷いを払拭してくれる
経営者の思いを示してくれる
経営者の声
経営理念が重要と言われるひとつは、企業理念が経営者(創業者)の声であるということ。
従業員と社長がいつでも顔を合わせ意見交換でき、社長の指示が直に伝わるような空間で事業が行われている場合は、企業理念はさほど必要性を感じません。
従業員は社長の仕事を間近で学ぶことができ、社長の行動から自分のとるべき行動を作っていくことができるからです。
もし社長の思いと方向性が違えば、すぐに指摘が入り社長自らの声で修正を促すことも可能です。
しかし、企業の規模が大きくなり従業員が10人、50人、100人と増えていくと、経営者は一人一人の従業員の行動や思考を把握し、管理することは不可能になります。
現場で働く人たちは、社長がどういう思いで仕事をしているか?など考えることなく、目の前の仕事に必死になるでしょう。
そこで重要となるのが企業理念です。
企業理念を明確に社内で発していると、経営者の思いが見えない声として従業員に届くことになります。
ビジョンが明確になり、共有しやすくなる
企業理念が明確になると、企業の方向性やビジョンを明示することができ、経営者だけでなく組織全体で思いを共有しやすくなります。
経営者が、従業員ひとりひとりと関わり、ひとりひとりに思いを語ることはできません。
そんな中で、企業が目指すべき絶対的な星があると、経営者と会うことが無くても社内において共通の認識として、自社の目指すべき方向を共有することができます。
一体感が生まれる
企業理念を共有し、企業全体として同じ方向を向くと、企業に一体感が生まれます。
経営者が管理者に、管理者が部門長に、部門長がリーダーに、リーダーが部下に仕事を語る時、芯の部分に同じ理念があれば、それぞれが違う表現で意向を伝えたとしても、伝わる事はブレないものとなっていきます。
ひとりひとり仕事への向き合い方は異なるものの、経営理念を共有することで企業としてのあるべき姿の方向性が作られるため、従業員全員が同じ方向を向くことに繋がり一体感が生まれてくるのです。
意思決定を正しい方向へ導く
経営の判断軸を作る
企業理念は、経営判断を行う際に重要な判断軸となります。
経営者は様々な場面で判断に迫られます。
自社が自発的に大きな案件に取り組むこともあれば、外部から大きな仕事が来ることもあり、規模が大きくなればなるほど経営判断は難しく、決断に迷うことでしょう。
その時に判断の決め手となりうるのが企業理念です。
その案件と企業のあるべき姿を天秤にかけた時、その業務を行うことが果たして理念に合っているのかどうか初心に帰って確かめることができます。
そのビジネスで利益が出るかどうかだけではなく、自社がやるべき仕事であるか、自社らしさがあるか、そこに企業理念があるかを照らし合わせ判断をすることができます。
従業員の判断軸を作る
判断軸となるのは、経営者にとってだけではありません。
現場においても、企業理念は大きな軸になります。
企業理念は、お客様との接し方、クレームの対応、新規案件の取得、営業など、現場で行動を起こす時にも行動の指針となります。
この判断は会社の目指すべき方向性と合っているか?何のためにこの仕事をやるのか?ここでの対応は会社の思いに合っているか?この仕事受けていいのか?
従業員にとっても重要な判断軸となるのです。
迷いを払拭してくれる
企業理念は、社員が抱える迷いをも払拭してくれます。
社員が企業理念を自分の中に浸透させることができれば、組織としての行動が定まり、自分が取り組むべき業務ややるべきことを理解することができます。
結果、仕事に迷いが無くなります。
迷いがなくなると、社員一人ひとりが自発的に行動できるようになり、行動に自信と責任を持つようになります。
そして、決断が早くなるため業務効率もあがります。
企業理念に基づく行動が伴えば、目先の利益にとらわれることなく正しい方を選択でき、企業としてのビジョンの実現にもつながっていくでしょう。
経営者の目が届かないほどに企業が大きくなればなるほど、企業理念はとても重要であることが分かります。
企業理念の必要性(コラム調)

企業理念の必要性とは
企業理念がいかに重要かということは、今まで触れてきた内容から理解していただけたかと思います。
では、企業理念は必要なのか?ということについて。
重要性の観点から言うと、必要なもと言えるでしょう。
ただ、これは、企業の規模によって必要性の判断が分かれるところだと思います。
中小零細企業で、ひとり社長の場合や従業員が少数である場合は特に必要ないのではないか?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
特に、起業したばかりでとにかく何でも仕事を受けたい!という場合には、理念なんかよりもまずは仕事を頂くことに気持ちが向くでしょう。
理念に忠実に動くよりも、仕事を選んでいられないという事もあると思います。
それも良いと思います。
企業理念の必要性は、今この時に掲げておくべきかどうか、経営者自らが判断し、経営者の心のタイミングで作っていけば良いのです。
それ企業理念ではないですか?
最初に、私が出会った企業で企業理念を持たない企業が多いという話をしました。
ある企業の社長は「この仕事は儲かるからやっている」
ある企業の社長は「私の代で会社潰すわけにはいかないから頑張ってる」
ある企業の社長は「企業理念?みんなそんなの考えてる?大企業だけでしょ?」
と、企業として掲げている理念は特に無い…という認識でした。
しかし、儲ける仕事をする!これは、立派な企業理念です。
儲ける仕事以外は受けないという経営判断は、大切な意思決定です。
従業員へ浸透させる思いとしても、儲けるためにうちはやっている!ということを伝えることができれば、現場ではより効率的に仕事が出来るよう必死になるかもしれません。
会社を潰さないということ。これも立派な企業理念ではないでしょうか。
会社を潰さないための企業努力は計り知れません。
その会社はいつお伺いしても従業員同士が意見を出し合い、より良い状態を作るにはどうすれば良いかを模索し、分析し、挑戦していました。
代々続く会社を守るために全員で事業に取り組むということは、壮大な企業理念だと思います。
最後に、企業理念?そんなのあるの?と思った方は、是非起業した時の気持ちを思い返してみて下さい。
起業する時や、事業を受け継ぎ経営者となる時は、相当の覚悟と思いがあってスタートを切ったと思います。
独立した方も、新規ビジネスを開拓した方も、副業から始めた方も、必要に迫られて起業した方も、その事業を始める時には必ず心に抱いた思いがあるはずです。
それが、創業の精神であり企業理念です。
それを「理念」として掲げるか否かは別の話として、ほとんどの場合企業理念がある―。
そう考えます。
「企業理念」というととても大きなものに感じますが、それは、経営者の志そのものなのです。
まとめ

企業理念は、教科書的に言うと企業として最も大切にする価値観であり、創業の精神です。
それは企業として存在する意義や、目標、使命など壮大な考え方になります。
その重要性は誰もが理解できるでしょう。
しかし必要か否かの判断は、企業の規模や、経営者の思いによって異なるため、強制されるものではありません。
ひとつ言えることは、創業の思いにしっかりと立ち返ることができると、それは企業を支える強みになりえます。
1つの支えとして、改めて企業理念を考えてみるのはいかがでしょうか。