貸借対照表を分解!!【負債の部】流動負債とは?負債から企業の状態を読む

 

こんにちは、 SunnyBizコンサル です。

 

貸借対照表は、決算書の中でも財務三表といわれる主要なものの1つであり、企業の「お金」に関する情報を明確に表しています。

これまで、貸借対照表の左側にある資産の部を分解し、流動資産と固定資産について解説してきました。

今回から、貸借対照表の右側を分解して解説していきます。

 

貸借対照表の右側にある負債の部。

今回は、負債の部の中でも「流動負債」に着目して解説していきます。

ポイントはコチラ。

流動負債について掘り下げよう!

  • 貸借対照表の構成を知る
  • 流動負債とはどういうもの?
  • 流動資産を見て分かることとは?
  • 実は借金って悪くない…?

貸借対照表を分解し、個別に見ていくことで、貸借対照表を読む際の視点が身についてきます。

ビジネスドクター
貸借対照表を読解するうえでの基礎知識として、流動負債の理解を深めましょう♪

貸借対照表の構成

概要

貸借対照表は、企業が決算書を作成した時点での財産、債務と、返す必要のない元手資金を表しています。

左側には現金・預金、その他の財産など資金の使いみち、

右側には、資金をどのように集めたか、その内容によって借入金と元手資金が記載されます。

 

貸借対照表についての詳細はコチラ↓↓↓

貸借対照表とは?【会計の基本】全体像をつかみましょう

貸借対照表を見れば、その企業の懐事情が分かります。

貸借対照表の構成

左側に記載される現金等・その他の財産を総称して「資産」と言います。

右側に記載されるもののうち、いずれ返済する必要のある借入金などの資金を「負債」、返済する必要がない元手資金を「純資産」といいます。

 

貸借対照表に記載される資産、負債、純資産は、それぞれ「資産の部」「負債の部」「純資産の部」と区切られます。

貸借対照表はこの図の通り、左側に表される資産の部と、右側に表される負債の部、純資産の部の3ブロックで構成されています。

負債の部の構成

貸借対照表の右側には資金をどこから集めたか?ということが載っており、これを「資金の調達源泉」といいます。

負債の部は、その中で「流動負債」と「固定負債」の2つに区分されます。

流動負債と固定負債は、いずれ返済する必要がある資金であることから「他人資本」と呼びます。

 

 

流動負債とは、1年以内に支払期限がくる借金などのことです。

固定負債は、支払期限が1年を超える借金などのことです。

 

決算日の翌日から1年以内に支払が発生するかどうか?という基準で区分することを「1年基準(ワンイヤー・ルール)」と言います。

 

また、正常な営業活動から発生する掛け取引(買掛金)や、手形取引(支払手形)は、流動性が高いため「流動負債」に分類されます。

 

今回見ていくのは、赤枠で囲った「流動負債」の部分です。

流動負債について知ろう

流動負債とは

流動負債とは、1年以内に返済しなければならない債務のことをいいます。

商品を仕入れた時の代金は、通常、モノの受け渡しから1~2か月以内に支払期限がきます。

金融機関から借りたお金も、返済期限が1年以内にくるものはその分だけ流動負債に載せなければなりません。

短期間に支払いがあるものが、流動負債に計上されます。

流動負債の種類

流動負債には次のようなものがあります。

流動負債の内容

  • 支払手形
  • 買掛金
  • 短期借入金
  • 未払金
  • 未払費用
  • 未払法人税等
  • 前受金
  • 預り金
  • 引当金 など 

支払手形

支払手形は、仕入先に代金の支払いに替えて振り出す手形です。

約束の期日がきたら、手形に記載された金額を支払う必要があります。

相手にとっては「受取手形」になります。

買掛金

買掛金は通常の営業取引から発生するものであり、商品や材料を購入した際に、ツケとして未払いにしてある金額です。

一般的に商品などの仕入代金は、1か月分を翌月にまとめて請求する場合が多いです。

請求書に記載された支払期日までにそのお金を支払う必要があります。

短期借入金

金融機関などから借りたお金のうち、1年以内に返済する必要があるものです。

未払金

営業取引以外のモノやサービスを購入したときの未払い金額をいいます。

事務用品の購入や、備品、車両の修理代など、単発で発生した取引によるものがここにきます。

未払費用

当期に発生したものの、まだ支払期日が来ていない費用のことです。

例えば、電話代や水道光熱費、給料など、継続的に使用・発生するもので、後から支払期日がくるため、未払費用に計上されます。

未払法人税等

未払法人税等とは、決算の時に確定した法人税・住民税・事業税で、まだ納付していない税額のことです。

前受金

商品を売上げる前に、先にお金を受け取った場合は前受金に載ります。

前受金は、先々商品を引き渡す義務があることを示すため、負債として取り扱われます。

預り金

企業は、従業員へ給料を支払う際、社会保険料や源泉所得税を天引きします。

これは、企業がもらえるものではなく、関係各所へまとめて支払うためのストックです。

一時的な預かりであり、関係各所への支払いが待っているため、負債へ計上されます。

引当金

引当金とは、将来の支払いに備え、あらかじめ用意しておく資金です。

例えば、賞与のための引当金や製品を保証するための引当金がここに入ります。

ビジネスドクター
売掛金や受取手形が回収できなかった場合のリスクとして、「貸倒引当金」があります。これは、回収の見込みがないだけでお金が出て行くわけではないので、負債ではなく資産にマイナス表記で記載されます。

これらの勘定科目を貸借対照表に表示するときは、支払わなければならない度合いが高いものから順に、上から下へと並べます。

流動負債の分類

流動負債は、その科目の特性によって分類することができます。

ひとつは「仕入債務」です。

仕入債務とは、商品やサービスを買った際の未払い分です。

一定期間のあとに支払う約束をしたものであり、支払手形や買掛金がそれにあたります。

通常、購入した金額そのものの代金が支払うべき金額として負債に計上されます。

 

もうひとつが「有利子負債」です。

有利子負債とは、利息の支払いをともなう負債のことです。

代表的なものに、金融機関からの借り入れがあります。

住宅ローンなどもそうですが、銀行からお金を借りると、借りた金額に上乗せして利息を支払う必要があります。

その利息金額の支払いは負債に載ってこないものの、お金を返す時には同時に利息分をプラスで支払うため、経費の発生・現金の減少が起こります。

 

仕入債務が増える分は資金繰りさえしっかりしていれば問題ありませんが、有利子負債が増える分は、そこにかかる利息の支払いが増加するため、利益に影響することを覚えておきましょう。

流動負債を見る際のポイント

資金繰りを確かめる

流動負債は、流動資産と並べて見てみましょう。

どちらが多いでしょうか。

流動資産も流動負債も、短期間でお金の出入りがあるものです。

もしも流動負債(△)の方が流動資産(+)よりも多い場合は、短期的な支払い能力が低いと見ることができます。

どれだけ売上があっても、手許に資金を回収する前に支払い日が来てしまうと、資金ショートを起こして会社は倒産します。

もしも、支払手形として振り出していたものが期日に支払えなかった場合も、そのことがすべての金融機関に通知され、要注意企業と見られます。

企業の信用が大きく下がることから、今後、金融機関からの借り入れが厳しくなります。

取引先からも関係を解消されるかもしれません。

 

まずは、その企業の資金繰りを確認するために、支払い能力の有無として、流動資産と流動負債を比較してみましょう。

流動負債はなくならない?!

流動負債が少ないことはすぐに出て行くお金が小さいことを意味するため、企業にとってはいいことに思えます。

確かに、金融機関から借り入れを行わず、自分たちが生み出した資金のみで事業活動を行うことができれば、優良企業です。

 

しかし、流動負債はまず無くなりません。

 

借金0円はありえたとしても、通常の営業活動から発生する買掛金や支払手形は、仕入れにかかるものであるため、0円になることはないでしょう。

むしろ、買掛金や支払手形があまりにも少ない場合は、企業活動が不活発なのかな?と心配になります。

流動負債が膨れすぎるとリスクになるため、バランスが重要です。

支払いに回す資金は少なくありたいですが、ある程度流動負債が発生することは、企業にとって必然であるといえます。

ビジネスドクター
補足ですが、貸借対照表に支払手形が載ってこない企業はたくさんあります。手形のやり取りがなければ支払手形は発生しないので、その場合は買掛金に合計されています。

借入金は悪いことではない?

貸借対照表を見て「借入金」という科目が無ければ、その企業は金融機関などからお金を借りていない、いわゆる無借金と見ることができます。

借り入れがなければ毎月の返済に追われることもなく、利息を支払う必要もないため、企業にとってはとても良いことです。

 

では、借り入れをすることは悪いことなのでしょうか?

それは、一概に悪いとはいえません。

例えば、明日支払う資金がない!給料が支払えない!日々の業務に回すお金がない!という状況で、その資金に充てるため借り入れを行う場合は、良い状態とはいえません。

通常の業務からお金が生み出せていないわけで、それは企業としてとても危険でしょう。

 

しかし、新たに事業を大きくするためや、新商品の開発に充てるため借り入れを行う場合は、それが企業にとってプラスになる場合があります。

手許資金だけでは挑戦できなかったことが、金融機関から力を借りることで大きなチャンスを生み出す可能性もあり、借りた額以上のリターンを見込めるかもしれません。

金融機関は、専門的な目線で決算書を慎重に読むため、融資を受けられる金額は、その企業への期待値と見ることもできます。

借り入れをしてしまった…ではなく、これだけを借りれる企業力がある!と捉えることができます。

ビジネスドクター
ただし!!必要以上の借り入れは危険です。金融機関によっては「めいっぱい貸します!」と言ってくれるところもありますが、、、必要額を超える借り入れは、その返済と利息の支払いによって徐々に会社を苦しめることになります。何事もバランスが大切ですね。

まとめ

貸借対照表を眺めることで、その企業のことを色々と知ることができます。

貸借対照表を読み解くには、バランスを見ることが重要です。

詳しく分析するには項目ごとの比率を求めたりもしますが、詳細な分析をする前に、全体を見てある程度の読み取りができると良いでしょう。

経営分析の基礎知識として、理解を深めていただけると幸いです。



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Sunny
新しい『笑顔』に出会うため、ブログを開設しました。 主に会計・マーケティング・経営に関する内容を『誰にでも分かりやすく』を心掛けて投稿しています。少しでも参考になれば幸いです。よろしくお願いします。