こんにちは、 SunnyBizコンサル です。
大切な人との突然の別れがあったとき・・・
深い悲しみを受け止める時間が欲しいにもかかわらず、現実的には様々な届出や手続きが必要となります。
遺された家族は悲しみの中、故人に関する手続きをおこなっていかなければなりません。
その手続きについて、ひとつひとつ確認していくのは骨の折れる作業です。
今回は、相続が発生したときの各種手続きや届出について、相続の目線から時系列でまとめました。
心と身体の負担が少しでも軽減するよう、記事を参考にしていただければと思います。
この記事のポイント
□ 相続が発生したときの手続きを知る
□ 届出・手続きの期限についてタイムスケジュールを確認する
□ 各種届出・手続きの内容について把握する
もくじ
相続が発生したときの手続きと期限を確認しましょう

相続が発生した時の届出・手続き
相続が発生した時の届出や手続きをあげると、以下のとおりです。
- 死亡届の提出
- 個人番号カードの返納
- 受給権者死亡届(報告書)の提出
- 健康保険・介護保険資格喪失届の提出
- 世帯主変更届の提出
- 公共料金などの名義変更
- 銀行口座の凍結
- 遺言書の確認
- 相続人の確定
- 準確定申告
- 遺産分割(遺産分割協議書の作成)
- 相続財産の名義変更
- 相続税の申告・納付
これらは期限が設けられているものがほとんどであるため、それぞれその期限に向けて速やかに処理をおこなっていく必要があります。
おおよそのスケジュールを把握しましょう
これだけの届出や手続きがあると、なんて大変なんだ・・・と身構える方がほとんどかと思います。
実際にはこれらの手続き以外にも、故人の友人・知人に連絡を取ったり、故人のものを整理したり、葬儀・法要を行ったりと、やるべきことが多くあります。
悲しみの中にあるにもかかわらず、これらの事務手続きを進めていくことはとても大変です。
しかし、現実としてやらなければならない大切な手続きとなるので、
「いつまでに」「何をしなければならないのか」を知り、おおよそのスケジュールを立てていきましょう。
相続発生からの手続きを時系列で表します
スケジュールを立てるうえで大切なことは、いつまでに何をするかという事の把握です。
期限があるものについて時系列で確認してみましょう。

図を見て分かるように、役所関係の手続きは2週間がひとつの区切りとなります。
その他にも、任意保険、公共料金、携帯、カードなど、個人的に加入していた契約に関する解約手続きも必要となりますが、それらは随時進めていきましょう。
財産の相続に関する処理は、期限が先の方に設定されています。
しかし、相続手続きは確認すべきことが多く処理が煩雑になるため、なるべく早く準備に取り掛かる必要があります。
相続が発生したときの届出を確認しましょう

死亡届の提出【7日以内】
まず最初におこなうのが、死亡届の提出です。
死亡届は死亡診断書とセットになっており、死亡診断書は亡くなった際に医師が記入するものです。
医師が記入した死亡診断書と、遺族が記入した死亡届を7日以内に役所に提出します。

死亡届は、役所の業務時間外でも受け付けてもらえます。
死亡届を提出する際、併せて「火葬許可申請書」を提出します。これは、役所の窓口でもらえます。
火葬許可申請書の提出については、自治体によって時間外対応をしていないところもあるので、事前に確認することをおすすめします。
死亡届と火葬許可申請書の2つを提出して交付されるのが「火葬許可証」です。
これは火葬場に提出する必要があります。
火葬後は火葬済の印が押された火葬許可証が返却され、これが埋葬許可証となります。
□ 医師より死亡診断書を受け取り死亡届を記入
□ 死亡届と火葬許可申請書を役所へ提出(7日以内)
□ 火葬許可証を受領して火葬場へ提出
□ 火葬後に埋葬許可証を受け取る
届 け 先:死亡者の本籍地・死亡地、あるいは届出人の所在地の市区町村役場
届 出 人:死亡者の親族・同居人など 葬儀社の代行も可能
必要なもの:届出人の印鑑
受給権者死亡届(報告書)の提出
年金を受け取っていた人が亡くなった場合は、受給権者死亡届を提出します。
これは、年金の支給を停止するために必要な手続きです。
もしもこの手続きを失念してしまうと、後々もらいすぎた分の返還手続きが発生するなど、余分な作業が生じてしまうため、期限を守って提出する必要があります。
受給権者死亡届は、国民年金の場合は14日以内、厚生年金の場合は10日以内に提出します。
受給権者死亡届を提出する際は、併せて未支給年金・未支払給付金請求書も提出しましょう。
年金の受給資格は亡くなった日に消滅しますが、年金自体は亡くなった月の分まで受ける事ができます。
年金は2か月に一度のサイクルで支給されるため、タイミングによっては未払いが生じるケースもあります。
未払い分を遺族が請求するため、これらの書類を提出しておきましょう。
□ 受給権者死亡届を提出する
□ 併せて未支給年金・未支払給付金請求書を提出する
届 け 先:手続きをする人の住所地の年金事務所、街角の年金相談センター
届 出 人:遺族
必要なもの:死亡診断書のコピー、故人の年金証書、故人の住民票(除票)、
手続きをする人の住民票や戸籍抄本、金融機関の通帳
健康保険・介護保険資格喪失届の提出【14日以内】
国民健康保険に加入していた場合は、亡くなると同時に資格を喪失するため、保険から脱退しなければなりません。
また、故人が介護保険の受給対象だった場合についても、所定の手続きが必要になります。
期限は、いずれも亡くなってから14日以内です。
市区町村役場に国民健康保険資格喪失届・介護保険資格喪失届を提出するとともに、保険証を返却します。
自治体によっては死亡届により手続きが行われることもあるため、死亡届を提出する際に別途手続きが必要か、確認しておきましょう。
届 出 先:市区町村役場
届 出 人:遺族
必要なもの:故人の国民健康保険被保険者証(保険証)、介護保険証、
介護保険負担限度額認定証、死亡届のコピー、印鑑
健康保険については、会社の健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入していた場合は、事業主が手続きを行います。
もし、故人を被保険者として被扶養者がいる場合は、全員分の健康保険証を事業主に返却しなければなりません。
被扶養者だった家族は国民健康保険への加入や、他の家族の被扶養者になるなどの手続きが必要になります。
世帯主変更届の提出【14日以内】
世帯主変更届は、15歳以上の遺族が2人以上いる場合に提出が必要となります。
故人が世帯主だった場合、「世帯主変更届」を提出し世帯主を変更するとともに、国民健康保険証の世帯主名も変更する必要があります。
保険証を返却し、新たに保険証を交付してもらいましょう。
名義変更などの手続きを行いましょう

公共料金などの名義変更
電気、ガス、水道などの公共料金については、名義変更が必要となります。
その他、NHKの受信料、固定電話、携帯電話、インターネット契約など、生活関連の名義変更や解約の手続きも行う必要があります。
任意で加入している保険については、保険会社に連絡をします。
これらの届出は期限が明確に決まっているわけではないものの、契約していることが分かり次第速やかに手続きを行う方がいいです。
クレジットカード
クレジットカードは、年会費が生じる場合もあるため、解約手続きが必要となります。
カードの利用は実際のクレジットカードを見つけるか、利用明細書などから確認します。
金融機関の通帳で支払いを確認することで、カードの存在を知ることもできます。
解約手続きはカード会社によって異なる場合があります。
カードを利用していたことが分かれば、そのカード会社に問い合わせを行いましょう。
銀行口座の凍結
銀行口座は、親族が銀行に死亡したことを伝えると、はじめて口座が凍結されます。
ひとつの銀行に伝えたからといって、全ての銀行口座が凍結する訳ではありません。
そのため、所有している金融機関すべてに連絡を行う必要があります。
複数の口座を持っている場合は、すべてに連絡をしましょう。
遺言書の確認と被相続人の確定をしましょう

遺言書の確認をしましょう
遺言書の有無は、遺産分割に大きく影響します。
そのため、親族が亡くなった時は念のため自宅などに遺言書が無いか探してみましょう。
ただし、遺言書を見つけたとしても、それを勝手に開封してはいけません。
遺言書は家庭裁判所に提出し、相続人の立ち合いのもとで開封をする必要があります。
遺言書は、公証役場で作成され、保管されている場合もあります。
最寄りの公証役場で遺言書が作成されていないか、念のために確認をしましょう。
相続人を確定しましょう【3か月以内】
個人の死亡によって財産を引き継ぐ人のことを相続人といい、相続人は、法律で決められています。
相続人の確定は、故人(被相続人)の出生から死亡までの戸籍をすべてさかのぼることで、誰が相続人であるかを確定します。
被相続人に関する戸籍謄本を全て集める方法で行うことが一般的です。
また、相続人に該当する全員分の戸籍謄本も集めなければなりません。

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相続人は、相続を放棄することもできます。
もしくは、マイナス財産はプラス財産の範囲内で引き継ぐという条件つきで相続をする、限定承認をすることもできます。
ただし、相続放棄、限定承認を選んだら、相続開始から3か月以内に家庭裁判所へ届出なければいけません。
それを過ぎてしまうと、相続人はすべての財産を相続することになるため、3か月以内に相続人を確定させましょう。
準確定申告をしましょう【4か月以内】

準確定申告とは
所得税では、毎年1月1日から12月31日までに発生した所得について、確定申告をします。
しかし、納税者が年の途中で亡くなった場合は、相続人は、4か月以内に故人(被相続人)に係る確定申告書を提出しなければなりません。
亡くなった人に係る確定申告を準確定申告といいます。
所得税の準確定申告は、死亡者が自営業だったとき、年間2,000万円以上の給与収入があったとき、不動産を売却したときなど、一定の条件に当てはまる場合におこないます。
遺産分割・相続財産の名義変更【10か月以内】

遺産分割
故人が保有していた相続財産は、相続が発生したと同時に相続人全員の共有の財産となります。
財産は相続人で分け合う必要があるため、遺産分割をおこない、遺産分割協議書を作成しなければなりません。
遺産分割をするためには、まずは財産の確認が必要です。
相続財産を確認しましょう
故人の財産を確認する場合には、銀行の通帳や生命保険の証券、株などの証券口座、金融機関からの通知書等を手掛かりにして調べます。
自宅に届く郵便物が手がかりになることもあるため、郵便物も注意深く見ておきましょう。
土地や建物などの不動産を所有している場合もあります。
不動産の所有の有無は、市役所などから毎年郵送されてくる固定資産税納税通知書を見てみましょう。所有している不動産が故人の住む役所管内にあれば、通知書に記載されています。
不動産の権利証や登記資料も探してみましょう。
これらはとても重要な資料なので、家の金庫や家族だけが知る特別な場所などに保管されている場合があります。
もう一つの方法は「名寄帳」という不動産の一覧表の取得があります。
これは、相続人が市区町村の役場へ書類を提出することで取得できます。

遺産分割協議書の作成
相続財産が確定したら、財産をどう分割するかを相続人同士で話し合います。
もしも財産が確定した時点で遺言書がある場合には、その内容が優先されるため注意が必要です。
遺産分割の話し合いがまとまったら、「遺産分割協議書」を作成します。
万が一まとまらない場合は、家庭裁判所へ申し立てることになります。
相続財産の名義変更手続き
不動産を相続した場合は、これまで任意とされていた所有権移転登記が義務化されることとなりました。
これは、2021年4月21日に改正法が成立したことに伴うもので、公布から3年以内に施行されるため2024年度に施行される見込みです。
相続人は不動産の取得を知ってから三年以内に登記しなければならないというものであり、違反がある場合には罰せられる可能性があります。
相続税の申告・納付【10か月以内】

相続税の申告【10か月以内】
相続税の申告は、納税額が0であれば原則として不要です。
相続財産は基礎控除という控除が適用されるため、遺産総額がそれを越えなければ税金は課税されません。
3,000万円+600万円×法定相続人の数

基礎控除のほかにも、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、税金を軽減させるものがあります。
それらを適用する場合は、相続税が0であっても申告が必要となるので注意しましょう。
相続税の申告書類の作成は専門家であっても大変な作業であり、準備と知識が必要です。
誤った内容での申告は余分な税金を払うことになりかねないため、自分で取り掛かるのはリスクがあるといえます。
申告のあとに調査が入る場合もあるため、相続税申告をするほとんどの人が専門家である税理士に依頼しています。
財産が多ければなおのこと、税理士へ相談することをおすすめします。

相続税の納税【10か月以内】
相続税の税額を計算し、申告書を作成したら、申告書を提出して税金を納付します。
納税の期限は申告書の提出期限と同じく相続開始の日の翌日から10か月以内です。
納税は、金銭による全額納付が原則ですが、延納や物納によることも認められており、その場合は申告書提出と同時に申請が必要です。
まとめ
相続は、人生で何度も経験するものではありません。
普段行うことの無い手続きや、聞き慣れない言葉も多く、知識も必要とする大切な手続きです。
故人を偲ぶ時間をゆっくりと確保するためにも、相続手続きの流れを時系列で確認し、スムーズに進められるようにしましょう。