こんにちは、 SunnyBizコンサル です。
決算書の中でも重要な役割を果たす損益計算書。
損益計算書は、1年間(1会計期間)の企業活動を客観的な数字で示すものであり、企業が1年間活動した結果、どれだけ儲けたか、もしくはどれだけ損をしたかを表します。
損益計算書の結論は、「当期純利益」です。
その結論にたどり着くまでの過程がどのようになっているのか見方を理解し、ポイントをおさえて活用できるようになりましょう。
要点は以下のとおりです。
- 損益計算書の作りを理解する
- 損益計算書を見るときのポイントはココ!!
- 損益計算書の理解を深めるには実際に活用してみよう
「決算書」と聞くだけで 難しい、分からない、数字が読めない と、苦手意識を持つ人がいます。
しかし、損益計算書は、決算書類の中でも重要性の高い書類。
ここを通らずして企業の実態を把握することはできません。
ポイントをおさえて企業の努力と成果をしっかり見れる力を身につけましょう!

もくじ
損益計算書の作りを理解する

損益計算書を構成する要素
損益計算書は、会社がどれだけ儲かって、どれだけ損をしたかを示すものであり、会社の年間成績表といえるものです。
損益計算書を理解するには、まずはその作りを知る必要があります。
損益計算書の概要はコチラ↓↓↓
損益計算書で表示するものは、企業にお金が入ってくる要因となる「収益」と、支出となる「費用(経費)」、「税金」、「利益(または損失)」です。
収益のメインとなるものは売上ですが、それ以外にも利息や配当金の収入、本業以外の雑収入や、資産を売却した時の売却利益などがあります。
費用とは、売上と対応関係にある支出や、会社を維持管理するための支出、利息の支払いなど、業務上必要となる支出項目をいいます。
そして、会社である以上支払いが義務となる法人税・法人住民税の記載があり、最終的に当期純利益(または当期純損失)が表示されます。
損益計算書のゴールは「当期純利益」と覚えておきましょう。
損益計算書の構成
損益計算書には、重要性の高い項目から順に上から下へと項目が並びます。
損益計算書を図で表すとこんな形です。

上から下へ
会社が本業でどれだけ収入を得たかということが重要視されるため、一番上に売上高がきます。
次に売上高に対応する売上原価。
売上原価とは、商品を販売するようなお店であれば仕入れた商品の代金などが該当し、製造業であればモノを作る際にかかった費用などがそれにあたります。
売上高から売上原価を引くと、売上総利益が出ます。

続いて販売費及び一般管理費。
これはよく「販管費」と略され、この中には人件費や広告宣伝費、消耗品や交際費など、本業を行うくうえで必要となる費用が入ります。
売上原価と販管費を合計することで、本業にかかる費用すべてを把握することができます。
売上総利益から販管費を引くと、営業利益が求められます。
次に、営業外利益と営業外費用。
営業外利益でよく出てくるのは、預金の利息や配当金の収入です。
営業外費用では、借り入れた資金にかかる支払利息がよくあがります。
営業利益に営業外利益をプラスして、営業外費用をマイナスすることで、経常利益が算出されます。
経常利益は「ケイツネ」とも呼ばれ、通常の経営から得られる利益を表しています。
会社にとってイレギュラーな収入と支出を表すものが、特別利益、特別損失です。
毎年おこるようなことではなく、単発的に発生した利益や損失がここにあがります。
例えば、土地を売却したときの収入や、台風被害による建物の損害費用などです。
経常利益に、特別利益・損失をプラスマイナスし、税引前当期純利益を出します。
これは言葉のごとく、税金を引く前の利益です。
ここから会社が納めるべき法人税などを引いて、ゴールである当期純利益が算出されます。
損益計算書の構成について詳しい内容はこちら↓↓↓
損益計算書の5つの利益
先に触れたとおり、損益計算書のゴールである当期純利益は、会社の利益の中で最終利益を表しています。
その最終利益にたどりつくまでに、損益計算書では内容ごとに区分して4つの利益が計算・表示されています。
当期純利益は、会社の一年間の成果を表すためとても重要です。
しかし、それだけを見て「儲かった!儲かっていない!」を判断することは少々危険であるといえます。
会社の実情を把握するためには、結論だけでなくそこに行き着く過程でどれだけ利益を生み出す力があるかを判断する必要があります。
それを表すのが、他の4つの利益なのです。
4つの利益を見ることで、会社の健全な部分と、ムダの部分、強み、弱みがどこにあるのかを分析することができ、結論である当期純利益の数字に根拠が生まれます。
利益をわざわざ5つに区分して示すことは、その会社の1年間の実情を表すうえで大きな意味があるのです。
損益計算書の5つ利益について 詳しい内容はこちら↓↓↓
損益計算書はここを見る!

利益に注目
損益計算書には5つの利益があり、それぞれに意味があることを説明しました。
損益計算書を見る時のポイントのひとつは、それぞれの利益です。
まずはそのひとつひとつの利益を深く読む必要があり、どこかに異常がないか確認することが重要です。
売上総利益を読む
売上総利益は、本業の商品やサービスを売り上げたことで生じる利益です。
売上取引1つ1つから稼ぎ出す、粗利益(あらりえき)を表しています。
売上総利益は、売上高から、直接売上にかかった商品代金などの売上原価を引いて求めます。
売上原価は売上と対応関係にあるため、売上総利益を計算することで、その商品がどれだけ利益を生み出す力があるのかを見極めることができます。
ここでもし、利益がほどんど出ていない、もしくは利益の割合が小さいと、それは販売価格と仕入原価とのバランスに問題があるのかもしれません。
販売する商品の価格を見直したり、仕入業者を検討し原価を抑えたり、利益率が高くなる工夫をする必要があります。
営業利益を読む
営業利益は、売上総利益から本業に関わる経費を引いたあとの利益です。
ここで引かれる経費を「販売費及び一般管理費(販管費)」と言います。
よくあがるものとしては、人件費・広告宣伝費・減価償却費・通信費・研究開発費・消耗品費・交際費などがあります。
これらの支出は、売上の増減に応じて増えたり減ったりするものではなく、たとえ売上が0であったとしても発生します。
つまり、販管費は売上原価と異なり売上とは対応しない、会社を経営・管理するうえで発生する経費です。
売上総利益から販管費を引いて求められる営業利益は、本来の事業でどれだけ儲ける力があるかを表します。
営業利益は、金融機関や投資家などの外部利害関係者も重視する利益です。
本業での儲けを表すため、同業他社との比較だけでなく、異業種との比較においても企業の力を知る大切な数字となります。
営業利益をしっかりと残すためには、販管費にあがる項目ごとに支出の必要性などを検討し、コストを削減することも大切です。
経常利益を読む
経常利益は、営業利益に営業外で発生した利益や費用を足し引きして求めます。
営業外利益でよくあがるものが、利息や配当金の収入です。
営業外費用では、金融機関から借り入れた資金の返済時に発生する利息の支払いなどがあります。
これは、会社が事業として生み出すものではなく、経営活動に付随して発生するものです。
経常利益をみることで、会社が経常的に、安定して継続して利益を生む力があるかをみることができます。
営業利益がプラスであっても、経常利益が小さくなる場合があります。
それは、本業以外での支出が多い場合であったり、利息の支払いが多額にのぼる場合が考えられます。
利息の支払いが多額であるということは、それだけ資金の借り入れ・返済があると見ることができます。
会社を支えている資金が自分の資金ではなく他社からの借入に頼っているということも分かります。
税引前当期純利益を読む
税引前当期純利益は、言葉のとおり税金を引く前の利益を意味します。
税引前当期純利益は、経常利益に企業にとってイレギュラーな収入・支出を加味して求めます。
例えば、台風被害による損失や、所有していた土地などの固定資産を売却した際に得た利益など、毎期発生する見込みのないものです。
このような一時的、突発的に発生した特別利益と特別損失を考慮して利益を算出します。
ここの利益(または損失)は、今期かぎりのものです。
毎年その利益が出る訳ではないため、ここで利益が大きく出たからといって会社が健全であるとはいえません。
企業力を判断するうえでは、ここで出た利益よりも経常利益を重視する必要があります。
当期純利益を読む
税引前当期純利益から法人税・住民税・事業税などの税金を引いたものが当期純利益です。
これが会社の最終利益であり、1年間で得た成果そのものです。
当期純利益は、その期の最終的な結果を表しているため、とても重要な数字です。
大企業など、株主を多く持つ企業にとっては、配当金を決める重要な数値にもなります。
比率に注目
次に見るべきは、比率です。
損益計算書を分析するうえで基本となる比率は、売上に対する利益の比率です。
例えば、売上が10,000円の会社が手許に利益を1,000円残した場合と、2,000円残した場合では、後者の方が利益率が高いといえます。
少ない売上でもしっかりと利益を生み出しているということは、儲ける力が強いことを表します。
売上と利益だけで率を見る場合は、単純に5つの利益をそれぞれ売上で割る(÷)方法で求めることができます。
□売上総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
□営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
□経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100
□税引前当期純利益率 = 税引前当期純利益 ÷ 売上高 × 100
□当期純利益率 = 当期純利益 ÷ 売上高 × 100
5つの利益率を計算することで、どの区分でどれだけの収益を得ているかを見ることができ、会社の収益性を判断するのに役立ちます。
経費に注目
経費にも注目しましょう。
販管費の中には、今期の経営・管理に関する費用だけでなく、来期以降の売上増加を示唆するような支出も隠れています。
その一つが人件費です。
営業力を高め、販路拡大を目指して人員を増やしたり、もしくは会社の縮小へ向けて人員整理をした場合、人件費に大きな変化が表れる場合があります。
次に、研究開発費。
これは、製造業などの自社でモノを作るような会社で見られる費用ですが、ここに資金が集中している場合、新製品の開発に力を入れている事が分かります。
そのほかにも、地代家賃などの賃料が増加した場合は、新規出店・店舗増加が考えられ、減価償却費の増加は、新たな資産を購入し設備投資をしたことが伺えます。
経費を見ることで、会社がどこに力を入れているかある程度予測することもできるのです。

損益計算書の活用法を知って理解を深めよう

損益計算書の見方が分かってきたら、実際に活用することで読む力をより高めていきましょう。
年ごとに比較してみる
損益計算書は、いち会計期間の利益が出る過程を表しているため、前年度など他の年度と比較することで経営分析を行うことができます。
比較する方法としては、2期もしくは3期分の損益計算書を並べて、月次ベースで3年間を比較したり、年間の累計で比較する方法があります。
年度比較することで、売上があがる時期や、毎期決まって発生する事象に気付け、来期以降の予測に役立てることができます。
また、数年分の数字をおうことで、会社の伸びている点や問題がある点に気付くきっかけにもなります。
損益計算書は、1期分だけを見るのではなく、比較してこそ有効活用ができるのです。
他社と比較してみる
同業他社と比較することも、大変重要です。
これは、自社の競争力を知る上でも大切なことであり、同業他社に比べ自社のどこに強みがあり、もしくはどこに弱みがあるかを分析する際に役立ちます。
会社の規模が違ったとしても、比率で分析を行うと同じ水準で比べることができます。
他社と比較して、営業利益が極端に多いもしくは少ない場合は、何かしらの大きな要因があるといえます。
他社が自社よりも勝っている場合には、どのような企業努力をしているかをリサーチしてみるのもいいでしょう。
逆に他社よりも自社が優れている場合は、さらにそこを強化し、差別化を図ることに繋げます。
比較することで見えてくることが必ずあるはずです。
損益計算書を活用し、経営分析に役立てていきましょう。

まとめ
損益計算書は、読み方さえわかれば多くの情報を得ることができます。
その作りと、見るべきポイント、活用方法を知って、企業分析や経営分析に役立てていきましょう。