こんにちは、 SunnyBizコンサル です。
先日、車を走らせていたら「焼きたてメロンパン」の移動車を発見しました。
一時期、その場で焼き上げるサクサクふんわりのメロンパンがブームとなり、いたるところで焼きたてのメロンパンを販売するワゴン車を見かけました。
何度買いに行ったことか。
もうかれこれ10年以上前でしょうか…
最近ではほとんど見ることはありませんね。。。懐かしく、なんとなく切なくもあります。
この間まで賑わっていたタピオカも気付けばブームが終わり、販売店舗も減少、撤退しています。
このような現象は業界だけでなく、個々の商品・製品にも起こることです。
人が生まれ育ち、老いて行く人生の周期があるように、業界や商品・製品にも生みだされ消えて行くまでの周期があります。
これを「ライフサイクル」もしくは製品の周期という意味で「プロダクトライフサイクル」と言います。
もはや、これは宿命のようなものです。
今回は、業界や商品・製品の周期について考えます。
ライフサイクルというものがどのようなものなのか詳細に触れ、各周期にあるとき、企業はどのような戦略をとるべきなのか、戦略的な視線で解説を行います。
この内容を理解することにより、製品のライフサイクルを理解することができ、これから新規参入する場合や戦略を立てる際に、いつ、どのタイミングでどこに力を注ぐべきかを理解することができます。
業界や製品の周期を見極め、適切な戦略を立てていきましょう。

ライフサイクルとは

ライフサイクルとは
ライフサイクルとは、人が誕生し、老いていくまでの過程を表現したものです。
マーケティングでは、そのライフサイクルを製品に当てはめて考え「プロダクトライフサイクル」と言います。
製品の寿命を人の一生に重ねて表現したものです。
プロダクトライフサイクルとは、市場に製品が投入され、認知され、成長し、その後売れなくなり姿を消していく…その流れを周期ごとに区切って考えるものです。
その周期には、「導入期→成長期→成熟期→衰退期」という4つの段階があり、ほとんどの場合がこの4段階を順にたどっていきます。
導入期
新しい商品・製品・サービスが、新しく市場に参入した初期段階をいいます。
この時期は市場での認知度が低く、商品自体知られていない状況です。
まだ知られていないことから需要も低いため、新しい市場を創造していく段階となります。
成長期
成長期とは、多くの人にその製品・サービスが知られ、市場が一気に拡大していく時です。
人気が急上昇し、売上も利益も大きくなります。
ただ、人気が出たことから他社が類似商品を作ったり、新規に業界に参入してきたり、後を追ってくる競合他社が増加します。
成長期は、他社との競争が起こったとしても市場が拡大しているため、ある程度のシェアを獲得することができ、売上も右肩上がりになります。
成熟期
成熟期とは、市場が落ち着き売上が横ばいになっていく時期のことです。
ある程度商品が行き渡ったことで需要が落ち着き、爆発的な売上ではなく安定的な売上へと移行します。
しかし、競合他社の数は減らず類似商品は増えていくため、競争の激化が起こります。
出せば売れていた成長期とは異なり、質や機能でしっかりと選ばれるようになり、限られた市場の中でシェアを奪い合う状況となります。
この成熟期の売上は、先にいくにつれて徐々に下がる傾向にあります。
衰退期
衰退期は、市場が飽和状態になった結果、その商品を求める消費者自体が減少し、売上が減少していく時期です。
新しく市場に参入してくる競合他社も減り、その業界から撤退する企業も出てきます。
安定的な売上ではなく、リピーターに対する売上や、保守などのアフターサービスにより利益を上げるようになります。
プロダクトライフサイクル図
今説明してきた内容を図で表すと、下のようになります。

企業は、大きく伸びる成長期と、安定した売上を保つ成熟期のときに利益を回収していきます。
ライフサイクルを知る事の重要性
どんな市場であっても、永続的に成長し続けることはありません。
忍耐強く市場を掴むことを待つ時期もあれば、大きくシェアを獲得しその波に乗って飛躍する時期もあれば、市場から撤退を決断しなければならない時期もあります。
ライフサイクルの周期を見誤ってしまうと、ここぞという大きな波に乗り遅れたり、既に引き際であるにも関わらず多額の投資をして市場に参入してしまったり、経営に大きく影響します。
ライフサイクルの周期がある事を知り、変化に気付くことができれば、そのタイミングごとに先手先手で戦略を考えることができます。
周期ごとに戦略を立てることは企業にとって大変重要な経営判断です。
市場の動向を的確に見極めるためにも、ライフサイクルを知る事はとても重要であるといえます。
ライフサイクルに合わせた戦略

導入期の戦略
導入時は、技術開発で大きなコストがかかるだけでなく、市場で認知してもらうための広告宣伝活動に多くのコストがかかります。
広告を打つ際には、生活に与える影響や機能面など、何がどのように良いものであるかをより分かりやすく、効果的に表すことが重要です。
また、販売促進として無料のサンプル品を配ったり、モニターを募ることも一つの戦略です。
市場へ参入する時は、どこをターゲットとするかを明確にし、そのターゲット層に合わせたアプローチを行います。
効果的なアプローチが出来れば、そのターゲット層を中心に徐々に市場が拡大していきます。
製品が知れ渡るまで忍耐強く待ち、企業内部では成長期に備えて量産できる体制を整えていく必要があります。
成長期の戦略
成長期は、一気に市場が拡大するため、適切な在庫管理が必要です。
競合他社も多く参入してくるため、在庫が無くて売れない!!という致命的な損失が起こらないように注意しましょう。
品切れが起こることが無いよう、量産できる生産力が必要です。
成長期には、こちらから広めようとしなくても市場の活性化によりどんどん顧客の流入が起こります。
そのため、宣伝活動にコストをかけるよりも、他社との差別化を図るためにコストをかけたり、より自社のブランドが選ばれる工夫を行うことが必要です。
このタイミングで新規参入を狙うのであれば、しっかりと市場のニーズを掴みたいところです。
一番手が先陣を切って商品開発・市場開拓を行った後であるため、二番手はその類似として後を追っていけば、初期投資を小さく抑えたうえで大きな利益を得る可能性があります。
二番手の強みを活かし最初のものに少し付加価値を付け、一番手のものを超える商品を出すことができれば、一気に市場シェアを獲得することも可能です。
流行の波を見逃さないようにアンテナを張り、市場の動向を見ていきましょう。
成熟期の戦略
成熟期は、なるべくコストをかけないようにする必要があります。
成熟期は既に市場の伸びが落ち着き、先々の売上が緩やかに下がる傾向にあるため、市場にニーズがあるかを見極めていかなければなりません。
そして、場合によっては次の商品へシフトすることを考え始めましょう。
成長期にはそのまま売れたものであっても、成熟期になると、他社とは異なる+αの機能が求められたり、既存の商品にアレンジをきかせたようなものが求められるようになります。
ニーズが変化することもあるため、消費者のニーズに合わせてより選ばれる商品を提供していかなければなりません。
ひと工夫として、商品のベースを変えずデザインを変えたり、販売する際のパッケージをリニューアルしたり、商品のオプションとなる付属品を売り出したり、コストを抑えながらもできる事を行います。
普通は、このタイミングで新規に市場参入することは危険です。
既に飽和状態になりつつあるため、ここで参入し他社に負けない売上を得ることは至難の業です。
しかし、あえてここで入る!!と、成熟期を選ぶ戦略もあります。
その時の市場参入方法は、いわば「変化球」を投げるというものです。
市場で認知された商品に、あっと驚くような変化を加え、もともとの物をさらに発展させて市場シェアを得ます。
その変化球は長くは続かないものの、終わり際を見極めて撤退すれば、大きな利益を得て身を引くことができます。
衰退期の戦略
衰退期は、市場でのニーズが減少し、売上や利益が落ち込んでいきます。
根強い人気を誇るものや、買い替え商品を求める消費者もいるため、すべてを無くす必要はないものの、企業は存続か撤退かを判断する必要があります。
企業は、次の新たな商品へ着手し始めるほうが賢明です。
戦略としては、新たなニーズに応える商品の開発、モデルチェンジ、まったく新しいものの創造へ進むことと、利益が少なくても可能な限り在庫を整理し、投資を回収していきます。
しかし、他社が撤退していくからこそ、あえて「存続」という決断をする場合もあります。
市場で大きなシェアを持っていた企業は、最後まで残る選択をすることもいいでしょう。
まとめ

ライフサイクルは、今触れてきたように4つの段階で移り変わる場合がほとんどです。
しかし、最近はこの流れ通りに行かず、ブーム再来?!となることや、成長期のあとにすぐ衰退期に入ってしまい、一瞬で商品が入れ替わることもあります。
世の中はどんどん便利になり、物があふれている時代です。
そんな中で市場において何がニーズであるか、新たなものを生み出す事すら難しい時代になっています。
だからこそ、その時々で時代の変化を察知するために情報を集め、市場の動向を観察する必要があります。
今がどの周期にあり、今後企業としてどんな戦略を立てる必要があるのか、プロダクトサイクルの考え方をもとに、改めて検討してみてはいかがでしょうか。
あの焼きたてのメロンパン…またブームが来ないかな?と思うのは、私だけでしょうか。。。
