経営ビジョンとは? ビジョンと組織のあり方について

 

こんにちは、SunnyBizコンサル です。

 

皆さんは、何か行動を起こす際、最初に達成したい目標を掲げますか?

それとも、現状を把握したうえで目の前の事を進めていきますか?

 

企業経営では、しばしば「ビジョン」を掲げることの重要性について触れられます。

ビジョンを掲げることは、経営理念に基づく企業活動の目的を明確にすることになるため、企業にとって大変重要です。

ただ、ビジョンは単に目標として掲げれば良い訳ではなく、それが実現可能かどうかを考える必要があります。

 

今回は、経営ビジョンについて掘り下げ、どのように組織を創りビジョンを目指していくかについて考えます。

はじめに経営ビジョンについて、ビジョンの掲げ方をまとめ、その際の重要な点について解説します。

次に、ビジョンを目指すうえでどのように組織を構築していくか、企業を創るうえで重要な「人」についてタイプ別に列挙し、組織づくりについても言及します。

ビジネスドクター
この記事を読むことにより、ビジョンをいかに掲げどのように組織を創っていくか、企業を経営するうえでの参考となると幸いです。

経営ビジョンとは

経営ビジョンとは

ビジョンとは: 将来の構想。展望。また、将来を見通す力。洞察力。引用元goo辞書//ビジョンの意味

ビジョンとは、辞書のとおり将来の構想・展望であり、目的を達成するために掲げるものです。

会社全体の未来像は、しばしば経営ビジョンという言葉で表現され、ビジネスに関わる人は一度はその言葉を聞いたことがあるでしょう。

未来の姿を描く「ビジョン」は、経営システムを構築するピラミッドの中で経営理念と並ぶものであり、企業が掲げる理念を実現させるための具体的な戦略・行動指針であるといえます※本記事最後に参考図あり)。

理念についての考え方はこちらを参考にして下さい↓↓↓

企業理念と経営理念の違いとは【そこから見える経営理念の重要性】

経営ビジョンは、3~5年先の企業のあるべき姿をイメージすると良いでしょう。

経営理念よりも業務に結び付けて具体的に目標としたものであり、経営計画が実行されたことにより達成できる企業の未来の姿といえます。

 

経営ビジョンには、先にビジョンを掲げる立案型と、現状分析を行う中でビジョンを見出していく現状分析型の二つがあります。

立案型

未来に目を向け、将来どのようになりたいか?という経営ビジョンをあらかじめ立てることを、ここでは立案型と定義します。

立案型は、特に現状分析は行わず、あるべき未来の姿をイメージするところからビジョンを考えます。

ビジョンとして立案するものは、達成すべき目標であり、夢であり、登るべき山です。

それが高ければ高いほど、いかにして成し遂げるかの計画と戦略が必要となります。

 

立案型による場合は、掲げるビジョンが現実離れした無謀なものになっていないか、注意が必要です。

現実離れした高すぎるビジョンはただの夢物語となり、従業員のモチベーションを下げる可能性があります。

実現することが想像でき、簡単には届かないけれどやりがいがある!というものであれば、そこへ到達するための努力と工夫を凝らすため、企業が高い成長を遂げることが考えられます。

現状分析型

現状を知り、そこから戦略を立てて行く中でビジョンを明確にしていくことを、ここでは現状分析型と定義します。

現状分析型は、己を知るところから始まります。

どのような経営資源を持っているか?現在どのような問題を抱えているか?という自社分析から行い、そこから何ができるか?何をすべきか?という計画を立てていきます。

この現状分析型は、目の前のことをひとつひとつこなすイメージで積み上げを行うことにより、成果を生み出し、結果的にビジョンが見えてくるものです。

 

現状分析により自社を客観視すると、想定していたよりも多くの問題点が見つかることがあります。

それをプラスと捉えるかマイナスと捉えるかは企業次第ですが、勢いに乗って活動を行っていた企業は、今まで整っていなかった部分が明らかになるため、どこから何をして良いものか迷いが生じることも考えられます。

しかし、組織を創りあげていくうえでは自社を整理することができ、事前に問題点やリスクを把握することができるため、段階的に事業を発展させやすく、明確なビジョンが立てやすいといえます。

ビジョンを掲げる

経営ビジョンは、企業をあるべき姿へ導いていくために大変重要なものです。

ビジョンを企業全体で共有することで、何のためにどこを目指すのか?ということが明確になり、組織が一体となって企業を大きく成長させる可能性があります。

そのため、経営ビジョンは夢として期待できるもであり、実現可能なものでなければなりません。

未来に高い目標を置きつつ、実現可能性について現状と向き合い、双方のバランスが取れた経営ビジョンを掲げることが大切であるといえます。

ビジョンを掲げることの効果

ビジョンがもたらす効果

ビジョンは、立場や役職関係なく、組織全体で一緒に目指すことのできるものです。

それぞれに異なる業務を行っていても、最終的にどこに到着するのかが明確であると、ひとつひとつの仕事に目的が生まれます。

そこへたどり着くために今の仕事があると認識できれば、従業員はモチベーションを維持することができ、仕事のやりがいと達成感を得ることができます。

目的のある仕事は成果を生み出しやすく、みんなが一丸となってビジョンを目指すことにより、企業は発展していきます。

ビジョン浸透の必要性

ビジョンは、ただ掲げるだけでは意味がありません。

経営者も、従業員も、共にそのビジョンを正しく理解し目指してこそ企業に良い影響を与えます。

もしも、経営者がビジョンを語りながらそれとは異なる言動をすると、従業員は経営者へ不信感を抱くでしょう。

ビジョンが揺らぐことは、従業員の判断を誤せることにも繋がります。

ビジョンは明確かつ正しく認識され、しっかりと浸透してこそ企業にとって効果を発揮します。

誰をバスに乗せますか?

著書の紹介

ここで、ビジョンを実現させるために重要な企業の組織について、嶋津良智氏が書いた「だから会社が儲からない!」という本を参考に挙げます。

この本では、「経営とは『はじめに人』ありき」と述べられています。

企業という組織は人によって構成され、人材がビジョンの実現や企業経営に大きく影響することを説明しています。

組織を構成する人材

本の中では企業をバスに例え、そこにどんな人が乗る必要があるのか、どんな人を降ろさなければならないのかを決めたうえで、適切な人が決まってから向かうべきビジョンを掲げる…と述べられています。

「偉大な企業への飛躍を指導したリーダーは、まず始めに新しいビジョンと戦略を設定したのだろうとわれわれは予想していた。

事実はそうではなかった。

最初に適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、適切な人がそれぞれにふさわしい席に座ってから、どこに向かうべきかを決めている」

結局経営とは、「はじめに人ありき」なのだ。

引用元:だから会社が儲からない! 嶋津良智

経営とは「はじめに人ありき」という部分の掘り下げで、嶋津氏は、企業にいる人を4つに分類しています。

  1. 理念が共有できて、仕事ができる
  2. 理念が共有できて、仕事ができない
  3. 理念が共有できず、仕事ができる
  4. 理念が共有できず、仕事ができない

 

ほとんどの場合、従業員はこの4つに振り分けることができます。

企業はこの中で適切な人をバスに乗せたうえで組織を作り、ビジョンを掲げ、理念に向かって戦略を立てて走る。

それこそが経営である、と説いています。

適切な人が居てこそビジョンと戦略が決まるということです。

4つの分類

上で触れた企業を構成する人材について、4つの分類を詳しく見ていきます。

 

この中で一番大切にすべき人材は、①の理念が共有できて、仕事ができる人で間違いないでしょう。

目指すところを共有でき仕事も出来るとなれば、企業にとって最高の人材です。

最優先でバスに乗せ、終点まで共にしたいものです。

 

次に、②の理念が共有できて仕事ができない人は、年数を重ね経験を積むことにより仕事の成長が見込めるため、これから育てていくべき大切な人材です。

バスから降りないように、しっかりと乗せておくべきです。

 

④の、理念が共有できず仕事ができない人は、仕事にも会社にも馴染まず長続きしないか、もしくは会社に影響なく淡々と仕事をこなす存在となりえます。

バスに乗るも降りるも、その人次第といえます。

 

注意すべきは③の、理念が共有できずに仕事ができる人です。

仕事ができることで頼りにされやすく、役職がついている場合には他の従業員への影響力が強いことが考えられます。

しかし、理念が共有できず力があることは、理念に沿った活動から外れたり、新たな風土を作ろうとしたりと、企業にとっての脅威になりかねません。

自分勝手な行動をとっても周りが意見できない事もあり、周囲へ悪影響をもたらすことが考えられます。

「だから会社が儲からない!」の中では、そのような人材は「やめさせるべき従業員」とまで指摘しています。

バスからは降りてもらうか、影響が少ない他のバスに乗り換えてもらうか、人材の配置に注意する必要があります。

経営は人で成り立つ

企業がビジョンを掲げて進む場合には、そのビジョンを浸透させることと、理念の共有が重要となります。

経営者の指示にただ従うだけの従業員ではなく、理念を共有でき、その理念を胸に自ら考え行動できる人が集まると、企業は大きく成長します。

ビジョンが明確に掲げられると、きちんと作られた組織はそこへ向かってエンジンをふかすようになります。

ビジョンを掲げる際は、バスに乗せるべき人、降ろすべき人をしっかりと選ぶという、組織づくりが重要です。

経営者として優先すべきは、理念という正しい方向へ進むために「誰をバスに乗せるか」「誰を降ろすか」である。会社としての方向性、売り上げ目標はその先で考えることである。

引用元:だから会社が儲からない! 嶋津良智

まとめ

経営ビジョンは、企業をあるべき姿へ導いていくため、大変重要なものです。

それと同時に、ビジョンを目指すためには適切な「人」が集まる必要があり、企業は組織づくりにも力を入れなければなりません。

企業が目指す将来の姿に近づくため、組織を作りビジョンを掲げていきましょう。

 

【※参考図】経営システムを構築するピラミッド